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造成・建設等を行う者、譲渡先の要件

2020年1月12日「日曜日」更新の日記

2020-01-12の日記のIMAGE
譲渡の相手先は国、地方公共団体、都市基盤整備公団などというように特定されているが、(3)の「優良な住宅地の造成・住宅の建設を行う者へ譲渡した場合」の特例は、所定の要件を備えた者(個人または法人)であれば、それが民間デベロッパー、不動産業者、ハウスメーカー、マンション業者のみならず、一般の事業会社や個人に対するものでも対象となり、適用範囲は広い。ただし、この特例は宅地なり、住宅・マンション建設を行うものに土地を譲渡する場合に限られている。したがって、譲渡を受けたものが自分で宅地造成なり建設をしないで、そのまま他に転売する場合には適用にならない。しかし、譲渡を受けた者が、自分で宅地造成や建設をした後で、他の分譲業者に一括転売した場合には適用になる。<開発許可の地位承継と10号の適用>開発許可を受けて優良な住宅団地の造成を行う者への譲渡(10号)の適用要件である「開発許可を受けて……造成を行う個人(……)又は法人」には、「都市計画法第44条又は第45条に規定する開発許可に基づく地位の承継があった場合には、当該承継に係る被承継人である個人(又は法人)又は当該地位を承継した個人(又は法人)」が含まれることが、同号のカッコ書で規定されている。たとえば.A社が開発許可を得た後、都市計画法上の手続きをとって、B社に開発許可にもとづく地位の承継をし、B社が住宅団地を造成した場合、地権者がその団地を.A社(被承継人)に譲渡した場合も、B社(承継人)に譲渡した場合も、この特例の対象となる。しかし、土地所有者本人が、開発許可を取得し、開発許可にもとづく地位を第三者に承継させ、その施行地区内に所有する土地をその承継者に譲渡した場合には、この10号の適用がないことが通達で定められている。この通達の趣旨として、「この制度は優良な造成事業を促進するためのもので、造成事業のために買い集めた土地を転売する場合に特例の適用を認めるものではない。このことから、改正通達では、開発許可に基づく地位の被承継人が造成事業施行地区内に有する土地等をその承継人に譲渡する場合には特例の適用がないことが留意的に明らかにされている」と解説されている。また、当初の開発許可を受けた土地所有者が、当初から自分で宅地開発をすることを予定していなかったとして、この10号の適用は受けられないとした判例がある。しかし、法律の条文を、どのように解釈しようとしても、土地所有者が開発許可を受けた後、その地位を開発業者に承継させ、そして、その開発業者に土地を譲渡した場合に、この特例の適用外となることとは読み取れない。上記通達また通達の解説においても、条文のどのような解釈からこの通達が発遣されたかを明らかにしていない。特に、開発業者が開発許可を申請するよりも、土地所有者が申請することの方が、近隣住民との関係または開発負担金などとの関係から、許可を得ることが比較的容易なケースもあることから、土地所有者が、実質的には開発業者を代行するような形で開発許可申請の名義人となり、開発許可を受けた後、直ちに開発許可の地位の承継を行うことも、この業界では多く見られることである。このようなケースについては、上記解説の「造成事業のために買い集めた土地を転売する場合」とは明らかに異なるものである。また、上掲判例も条文の解釈を拡大し過ぎていると思われる。

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