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借家人はマンション共有部分の工事を拒否できるか②

2019年12月10日「火曜日」更新の日記

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■管理組合決議を拒むことはできないマンションの管理組合決議には、各戸の占有者(つまり借家人)も各区分所有者と同様に拘束されます。いわゆるマンション法に、「各占有者は各区分所有者が決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う」と規定されています(建物の区分所有等に関する法律四六条二項)。また、民法も「貸主が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは賃借人はこれを拒むことはできない」と定めています(民法六○六条二項)。あなたの家では大したことがなくても、排水管更生工事は全館にまたがる共有部分の工事ですから、一戸だけがその工事を拒むことはできません。建物の維持・保存に必要な保存行為を行うことは、家主の義務であるとともに権利であると考えられ、借家人は家主のその権利行使を妨げることはできません。ですから、その修繕のため多少使用・収益に障害が生じてもこれを拒否することはできず、受忍する義務があるといってよいでしょう。■拒み続けていると契約を解除される恐れもあるですから、一時の不便には目をつぶって、多数の人々が一棟の建物に居住しているマンションの特殊性を十分理解して工事に協力すべきです(そもそも管理組合の決議に、このような拘束力を持たせているのは、そのようなマンションの特殊性に基づいているのです)。あくまで工事を認めないでいますと、修繕受忍義務違反を理由に賃貸借契約を解除される恐れも生じてきます。

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