へやいろシーン

トップ > 元年12月> 6日

貸主・借主双方に責のない修繕費は誰が支払うか

2019年12月6日「金曜日」更新の日記

2019-12-06の日記のIMAGE
通りに面した店舗を造作付きで借りて、靴屋を営んでいる者です。先日、無免許運転の車が突っ込んできて、店のショーウインドーと扉や壁の一部が大破しました。修繕には約五○○万円かかるとのことですが、加害者は保険に入っておらず、資産もありません。この修繕費用を、全額家主に負担させることはできませんか。また、従前のものより高級なものに取り替えるとすると、私のほうで差額を負担すればよいでしょうか。■家主に修繕費用を求めることができるこれは、家主にも借家人にも責のない事由により借家の大修繕が必要となった事例です。こうした場合には、全額を加害者に請求できることは間違いありませんが、実際には保険にも入っておらず、資産のない者から金を取りようがありません。したがって将来、加害者から少しずつ返還させるとしても、とりあえずは家主か借家人のどちらか、あるいはその双方で修繕費を負担するより方法はないでしょう。さて、本問のケースで、家主と借家人どちらに修繕義務があるかというと、これは大規模な修繕ですので、たとえ「修繕は借家人の負担で行う」という特約が入っていたとしても、借家人に修繕義務を負わせるわけにはいきません。その修繕費用は、この貸店舗にとって必要費に当たり、家主に修繕義務があるものと思われます。したがって、あなたは家主に対して直ちに店舗の修繕をするよう求めることができるでしょう。店舗の前面が大破していては営業もできないでしょうから、すぐに家主が応じない場合には、あなたは家主に代わって必要な修繕を施し、それに要した費用を家主に請求することができます。必要費を毎月の家賃と相殺してゆくこともできるでしょう。■特殊なものに修繕するときは借家人負担となるちなみに、壁については家主が全額負担すべきことは異論がないとしても、たとえば扉やショーウインドーについて従前よりももっと高級なものにしたいとか、どうせなら個性的なものにしたいという場合には、あなたのほうで通常品と高級品の差額の部分について負担すべきことはいうまでもありません。扉とショーウインドーの差額部分は有益費に当たりますので、将来、賃貸借契約解除の際に価値が残っていれば償還させることが可能ですが、そのためにはあまり特殊なものにしないほうが無難でしょう。

このページの先頭へ