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必要費の支払いを家主に拒否されたら②

2019年12月4日「水曜日」更新の日記

2019-12-04の日記のIMAGE
つまり、支出した五○万円の必要費に満つるまで、このケースであれば月額一五万円の四カ月分の賃料と五○万円の必要費とを相殺することができます。また、年六分の率による遅延損害金もあわせて請求できます。実際には四カ月目の残りの賃料と相殺することになるでしょう。ただし、相殺をするには借家人は家主に対し、その旨の通知書(相殺通知書)を出しておかねばなりません(次ページ参照)。これは、後日証拠とするために内容証明郵便で発送しておく必要があります。こうしておかないと四カ月間の賃料の不払いを債務不履行であるとして、家主に契約解除を主張される恐れがあります。なお、相殺の通知は毎月する必要はなく、まとめて向こう四カ月間の賃料と相殺する旨通知してもかまいません。■必要費の償還を家主に謂求するさて、家主には建物の倒壊を望んでいるふしがあるとのことですが、たとえそれが本当でも家主の考えを改めさせる有効な手段があるわけではありません。あなたが何度も請求しているのにもかかわらず、家主が修繕しようとしない場合にあなたの取り得る方法は、修繕義務の不履行を理由とする損害賠償請求か賃貸借契約の解除、もしくはその両方ですが、それでは家主の思うツボです。また、賃借人は「修繕せよ」との裁判を起こすこともできますが、勝訴しても経済的利益が得られるわけでもなく、裁判には時間も費用もかかりますからあまり現実的ではありません。したがって最も現実で効果的な方法は、必要な修繕は自分でやってしまい、その必要費の償還を家主に請求することです。■トラブルを防ぐための注意点その際、後日のトラブルを防ぐために次のような注意をすることが必要です。①修繕を促す通知を何回か出す(そのとき、その修繕がいかに建物の維持、保存および借家人にとって必要か、修繕をしないといかに困窮するかということを明記する)。②二回目ぐらいの通知から、家主がこの請求に応じてくれなければ自ら修繕して費用を請求する旨を記載する。③修繕する際には、後日のクレームに備えて当該物件の修繕前の写真や修繕の見積書(一社ではなく複数の会社からの見積りをとることが望ましい)等の証拠をできるだけ備えておくことが必要です。

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