へやいろシーン

トップ > 元年11月> 20日

<なぜ印紙を貼らなければならないのか 印紙税の歴史と未来> 2

2019年11月20日「水曜日」更新の日記

2019-11-20の日記のIMAGE
(2) 日本での印紙税は 日本では,江戸時代には、商取引に課税するという感覚は薄かったが,西欧の文明もやや浸透してきた明治6年の「受取諸証文印紙 貼用心得方規則」で採用され、当初は印紙の貼っていない証書は裁 判上の証拠としないとか,犯則者を告発した者に賞金を与えるなど という制度があり、印紙税収入を重視していたことがうかがわれる。 その後、幾多の改正を繰り返し、昭和45年の全文改正の「印紙税法」 をへて現在に至っている。なお,現在では,印紙を貼っていない証書でも,裁判で証拠とし て有効であるし、犯則者を告発しても当金はもらえない。(3) 印紙税はなぜ残っているのかその後,たとえば,土地・建物の取引についてみても、登録免許 税が創設され、譲渡所得税も整備され,不動産取得税もでき,建物 については消費税も課税されている。印紙税というのは,これらの 税のできる前には必要で,かつ重要であったかも知れないが,もう その存在価値は失っている。したがって,廃止してしかるべきでは ないかと思うが、課税する側としては、「経済取引等に伴って作成さ れる文書のうち,一般的に、その出現した背後には相当の経済的利 益が存在し,軽度な補完的課税の対象に取上げて然るべき文書に課 せられる国税である」(大阪国税局消費税課長横田光夫監修 『例解・ 印紙税」税務研究会出版局)と、かなり苦しい解説をしている。そ れが「軽度な」ものかどうかは感覚の差として、なぜこのような「補 完的課税」が現在でも必要なのか。慣性の法則は,こういう領域までも及んでいるのであろうか。(4) インターネットと印紙税の未来ところで,世の進歩とともにインターネットを利用した電子商取 引が増えてきている。この場合、パソコンの画面に表われる契約書に,どうやって印紙を貼ったらよいのかという問題が生じ,当局も 鳩首協議したらしいが,結局のところ,印紙を貼らなくてもよいと いうことになった。電子商取引の普 及とともに,印紙税は自然消滅をしていくのであろうか。

このページの先頭へ