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<なぜ印紙を貼らなければならないのか 印紙税の歴史と未来> 1

2019年11月19日「火曜日」更新の日記

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商取引のあったとき,そのようなことをする者には,それ相応の 税金を負担するだけの財力があるであろう。こういうことで課されるのが流通税である。 といっても,その商取引の内容――いくらもうかっているから, これぐらいの税の負担ができるであろうということまでを把握しよ うとすると,なかなか手間もかかるし,困難でもある。しかし,あ る程度の大きな商取引であれば、契約容も作成するし、領収替も発 行する。これらの文君には,どういう取引をして,その金額がいく らであるかということが記載される。したがって,その取引の種類 に応じた税額をきめておいて,その文君に印紙を貼らせて課税する ということは,課税側としては、手間も省け、かなり効率のよい徴 税方法である。(1) 印紙の発明と普及印紙税は1624年にオランダで初めて採用されて以来,各国に普及 し、18世紀ごろには、ヨーロッパの各国に普及していた。印紙税の効率のよさについて、アダム・スミスは、「国富論』 (1776 年刊)で,次のように述べている。「印紙税や登記税による課税方法 は、ごく近代に発明されたものである。とはいえ、わずか一世紀た つかたたぬうちに,印紙税はヨーロッパのいたるところに普及し, 登記税もきわめてありふれたものになった。人民のポケットから金 をはきださせてしまう術くらい、ある政府が他の政府からいちはや く学びとるものはないのである。」(大内兵衛他訳『諸国民の富(四)」 岩波文庫)。なお,ロシアでは、すこし遅れているが,18世紀の初め、ロシア のピョートル大帝が,不断の戦争によって軍事費が莫大な額にのぼ り,国庫が底をついたとき,広く新税のアイデアの募集を行った。 クルバードという,もと農奴だった男が、主人に従って外国にいっ たとき印紙税のことを知り,帰国するとこの募集に応じ、いわゆる 「鷲」印紙税を提案した。これが当選して,年420ルーブルの財政収 入を国庫にもたらした。彼は後に、商工局長に抜擢され、さらに副 知事になったという(国税庁消費税課編「印紙税実務問答集』序より)。よほど,画期的な税収をもたらしたのであろう。

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