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贈与税と時効2

2019年11月1日「金曜日」更新の日記

2019-11-01の日記のIMAGE
登記をしないで公正証 書を作成しておいたらたとえば土地・建物を贈与して,所有権移転登記はしないが,公正証書を作成しておいたらどうだろうか。登記をすれば税務署にすぐわかって課税されてしまう。 しかし、公正証書を作っても,公証人役場から税務署に通知がいくわけでないから,自分で申告さえしなければ税務署にはわからない。 そして,公正証書を作成し、その効力が発生した日,少なくとも土地・建物 を目立たないように引渡しをしておいてその翌年の3月15日から起算して5年 経過したら,「登記原因×年×月×日贈与」として所有権移転登記をする。登記 の受付日は現在日だが,登記原因の日付は5年以上前の引渡日などにしておく。これならば、税務署から「買入れられた資産の買入価額などについてのお尋 ね』がきても、「これは贈与を受けた土地・建物です。しかし,贈与税は,もう 時効にかかっているはずです」といえば、課税されないのではないか。これも 一理屈ある。そして,最近こういう相談が結構多くなってきた。これで時効にもちこむのは,やはりむずかしい同じようなことを考える人は,結構いるもので,親が公正証書で贈与契約書を作成しておいて、その日 から起算すれば時効の成立した日以後に死亡し,相 続が始まった。そのとき,公正証書に記載してある財産は、贈与は済んでいる から,相続財産には含まれないはずだ。そして、その贈与税については時効が 成立していると主張して争った事例があり、国税不服審判所にもちこまれた。このときの裁決では,真に贈与をする意志があって贈与したのなら,土地・ 建物については、一般の人がするように,登記をするなり、外見上贈与をした とわかるようなことをしているはずだ。そして,この場合,登記などをしては 困るような特別の事情もなかった。だから,これは単に文書を作っただけで実 際には贈与という事実はなかったのだ。だから,相続税の課税対象から除くべ きでないという裁決であった(昭46.9.27裁決,国裁例9313,また,平5.3.24名 古屋地判,判祖法4026の 4 の21)。だから,こういう方法で贈与税(または相続税)をまぬかれることはむずかし いようである。

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