へやいろシーン

トップ > 元年10月> 29日

隠匿したら、破棄したら

2019年10月29日「火曜日」更新の日記

2019-10-29の日記のIMAGE
公正証替は破棄されても効力は失いませんし、勝本の交付を公証役場に幾度でも請求できます。作成されたかの有無も「遺言検索システム」で照会できます。しかし、1つしかない自筆証替・秘密証書を隠匿・破棄されたらどうしようもありません。隠匿・破棄された事実が立証できても、写しなどがないと隠した事実・その内容も明らかにできず、結果として、遺言書の意思は実現されなくなります。公正証書遺言の隠匿があり得るかについて、原本は公証役場に保管されており有無の照会・謄本請求もできることから秘密性はないとし隠匿を否認した判例もありますが、議論になっています。相続人が故意に遺言書を隠匿し、または遺言行為に違法な干渉をし、不当な利益を得ようとした場合は、受遺者の資格、相続人の資格を喪失する欠格事由に当たります。しかし、その相続人の子が代襲相続できます。判例では、遺言を隠匿または破棄した場合でも、その行為が不当な利益を得る(当人だけでなく第三者も含むと考える)目的によるものではないときは欠格事由に当たらないとしています。隠形・破棄した人が不当な利益を得る目的でないことを立証しなければなりません。破棄・紛失すると証拠として内容が示されず、隠匿した人は不利になることは否めません。なお、遺言の存在を知っていれば分割協議が成立しなかったと認められる場合の分割協議を無効とした判例もあります。

このページの先頭へ