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墓地の承継、喪主・祭祀の一、主宰者は?その費用負担は?

2019年10月11日「金曜日」更新の日記

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遺産分割に際して、葬儀の喪主、費用の負担、祭祀の主宰について問題となる場合があります。葬式は誰が行うか法律は定めていません。地域または親族の慣習・条理によるとされています。(1)遺産相続とは違う祭祀承継祭祀財産は、旧民法では家督相続による戸主のシンボルのようなものであったでしょう。しかし現在では、相続財産とは別個の財産として特定の者に承継することになっています。祭祀財産とは、墓石・墓地等の墳墓、仏壇・仏像・位牌等の祭具などです。墓地は墓石に必要な範囲としています。祭祀を承継する者は、まず、被相続人の生前または遺言により指定された者、次に地域・親族の慣習ですが、それでも決まらないときには家裁の調停・審判により決められます。家裁は、被相続人と密接な生活関係にある者、被相続人に最も深い愛情を注ぐ者、被相続人が指定するであろうと推測される者など関係の緊密な者を優先し、承継の意思・能力などを総合して考慮しているようです。慣習とは戦後の民法により生成された慣習のことです。承継者を2名とした審判例もあります。なお、祭祀を承継するか否かは遺産の相続分に影響はなく、他の相続人には祭祀の費用負担の義務はありません。また、遺骨の管理は祭祀財産に準じて扱われているようです。遺体の学校等による解剖には祭祀主宰者となる者を中心とした遺族の同意が必要です。葬式費用は、まず香典でまかない、不足すれば遺産の管理に必要な費用とともに相続財産の中から支払われるべきとされていますが、法定相続分による負担、喪主の負担など異論もあります。不相応な葬式を営んだときは喪主の負担でしょう。香典は基本的には葬式費用負担を軽くする趣旨ですが、残された若い妻子の生活費の支援などのケースもありますが、残れば、一般には喪主の今後の祭祀のために使われると解されているのでしょう。(2)相続税の扱い相続税では、相続税の申告・納付は円満な家族を前提として規定されています。相続人が負担した葬式費用は債務控除として相続税の課税価格から控除されます。この場合の葬式費用としては、寺院・葬儀社への支払い、お通夜・告別式に要した飲食費等、被相続人の職業等に相応しい程度の費用、遺体の捜査費用、遺骨の運搬費用などが含まれます。しかし、墓地・墓碑の購入、香典返し費用、初七日などの法要に要した費用は対象外です。生前に購入した墓地・墓石のための借入金は債務控除になりません。(3)ちょっと一言後を託すなら、関係者に周知され納得するためにも、「遺言などではっきり示しておいて欲しかった、できればその費用負担も明確化して欲しかった。考えの相違や思違いでトラブルになるのはコリゴリ、自分のときはキチンと書いて残しておく」というのが多くの祭祀主宰者の声です。筆者のアドバイスとしては、すぐに開示できるよう、財産についての遺言とは別の家族への書面を残し、できれば菩提寺に通知しておくこと、生前に指名し家族に知らしめておくことです。

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