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家庭裁判所の役割に期待し過ぎてはいけない

2019年10月8日「火曜日」更新の日記

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各相続人は、主張する根拠となる証拠を示し、その意見・考え方を明らかにする必要があります。遺産分割の審判の場合、調査官による資料の収集は裁判所の権限であり義務ですが、裁判所は特別の調査手段を持っていません。各相続人が知っている限り財産目録を提出することになります。ある相続人が財産を隠している、他の名義にしていると主張されても、取引機関がわからなければ裁判所は照会・調査できませんし、さらに第三者名義を調べることは簡単ではありません。まして被相続人の財産であったことを証明することには限界があります。知っている相続人に明らかにするよう要請するしかありません。銀行などの取引機関は過去の取引経緯を調査する義務・範囲については明確ではありません。弁護士会による照会制度もありますが、やはり、日頃から自ら証拠となる資料を保管しておきたいものです。寄与分、特別受益分の主張については、その事実を確認する相当の長期にわたる事情についての確たる証拠が残っていないことが多く、被相続人を中心とした家族史、申し立てる者の自分史という様相を呈します。他の誰かが自分より多く取得することに我慢がならないなど、紛争の根は別のところにあるケースも見受けられます。言い分を理解してもらうためには、調査官、調停委員、審判官の心証を少しでもよくする資料・説明が大切であり、常日頃から事実を裏づける資料を整え、説明に工夫が必要です。調停・審判・訴訟は大変なストレスであり、健康を害する方もあり、費用と手間もかかります。あくまでも最後の手段としたいものです。

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