へやいろシーン

トップ > 元年10月> 5日

介護を負担とする分割協議、遺言なのに、履行しないときは?

2019年10月5日「土曜日」更新の日記

2019-10-05の日記のIMAGE
親の面倒を見ることを条件または負担として遺産分割協議・遺言もしくは贈与をする場合があります。老親が加齢に伴い自立して生活することが難しくなり介護が必要となったとき、特定の相続人に託し、その分より多い遺産を相続する分割協議・遺言または贈与がなされます。介護とは、身体上または精神上の障害により日常生活に支障がある場合、食事・排泄・入浴などの身の回りの世話を行うことです。よく似た言葉に世話する・面倒を見るがありますが、機能障害の有無にかかわらず日常の炊事・洗濯・買い物などの支援のことを指しているのでしょう。介護、世話・面倒、同居することが遺産分割協議において記載されていた場合、また遺言または贈与契約に記載されていた場合、その趣旨・内容が各相続人の解釈により違っていればトラブルになります。このような負担も含め履行されない場合はどうなるのでしょう。(1)扶養と介護の違い老親に対する介護は子どもの義務ではないとされています。扶養は子どもの資力の範囲での義務であり、親に財産的余裕があれば扶養の法的義務は生じません。扶養と介護は別のことです。無償の愛情に基づく介護行為は強制でも義務でもありません。外部に託するときに対価を支払うのと同様に、家族に託するなら相当の感謝の気持ちを表すべきです。自己犠牲による介護は睡眠不足や腰痛などの肉体的負担だけでなく、精神的負担も相当あります。介護は精神的なケアも含まれる広範なもので、寄与分として評価されると考えるべきなのでしょうが、このような献身的な行為、満足し安心できる行為は制度の趣旨から残念ながら評価されません。(2)履行されないとき①分割協議のケース債務とは言いがたい内容の負担の場合には、当事者にとって重要な事項であっても債務不履行による解除による救済はできません。必ずしも金銭的価値のあるものでなくてもよいのですが、履行・不履行の客観的な判定ができる負担にしましょう。介護・世話の内容を毎月月末に金銭○○万円を手渡すなど具体的に示しておく必要があります。

このページの先頭へ