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遺産分割協議の法定解除

2019年10月4日「金曜日」更新の日記

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遺産分割協議が成立後に、協議の内容として相続人の1人が他の相続人に対して負担した債務の履行をしないときであっても、他の相続人は分割協議を解除することができない、という平成元年の段高裁の判決があります。協議は成立とともに終了し、債務を負担した相続人とその債務を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけであるとしています。負担とする債務は遺産ではありませんので、遺産分割協議の不履行にはならないのでしょう。しかし、前述のように合意解除は認められます。また、解除権を認めるべきとする批判、負担の内容が協議において重要なときは解除権の留保を認定できないか、解除権を留保した協議書にするなど議論されているようですが、後で問題が起こらないような協議書にしたいものです。なお、相続人の債権者から詐害行為であるとして協議が取り消された判例、特定の相続人の税金等の誤った説明を誤信したことによる協議の無効を認めた判例などがあります。(2)公正証書遺言の検索システム法律的に裏打ちされた制度ではありませんが、平成元年ごろから全国で作成した遺言公正証書の登録制度が公証人によって独自で管理されています。公正証書の有無について最寄の公証役場にて過去に作成しているか確認する検索システムで、相続開始後に利害関係者であることを証明する書類を添えて問い合わせることができます。文書による回答も可能のようで、利害関係者はその謄本を請求することができます。(3)遺言書が分割協議後に発見された場合故意に遺言書が提示されないとき、無効な遺言は別にしてたまたま後で有効な遺言が発見されたとき、遺言内容を知っていれば分割協議の内容にはなっていなかったと考えるときを除き、相続人全員が避言の有無にかかわらず同様の分割協議をしたであろうと考えるときは、見つかった越言の内容と異なるものであっても分割協議の内容により分割できます(第三者に遺贈する旨の遺言は履行しなければならなりません。)(4)分割協議に際しての留意事項遺産分割協議において、申告期限が気がかりでしょうが、後日のトラブルをなくすためにまず慎重に協議をすること、相続後の賃料・配当などの法定果実の扱い、税理士報酬・登記費用などの諸経費の扱い、後述の介護負担、債務の不履行による解除条件を付すなど明記しておきましょう。このようなことは遺言を作成するときも気をつけたいことです。

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