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遺産分割|特別受益証明膳(ハンコ代)による相続手続き?

2019年10月2日「水曜日」更新の日記

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相続人が各地に分散・居住しているとき、遺産内容を知らせたくないとき、または不動産の相続登記をするときに、分割協議書の持ち回り作成の手間を省くときなど、特定の相続人に遺産を集中させる方法として「特別受益証明書」を作成し交付しています。この証明書にはどんな意味があり、メリットは何でしょうか?(1)特別受益証明はどんなときに利用するのか「特別受益証明書」とは、生計の資本等として特別受益分を既に受けたため相続すべき相続分はもうない旨のことを自ら宣誓する証明書です。「相続分がなきことの証明書」ともいい、印鑑証明書を添付して多くの遺産を相続する人に交付しますが、このときに、いわゆるハンコ代として現金をもらう場合もあります。その相続人は全遺産の内容を記載した分割協議書に押印する必要がありません。未成年者が相続人の場合は親権者がこの証明書を作成します。親権者が相続人であっても利益相反の行為に当たらないからです。この証明書を添付すれば、特定の相続人に不動産の相続登記や預貯金の名義変更・払戻しができます。この証明書が、相続分がないことの事実を証明するものとして交付したが、その事実が虚偽であり、全遺産の範囲・額を錯誤により間違っていた、または不動産の登記のためのみのつもりだったが悪意で利用されたときなどは、改めて遺産分割を求めることができます。しかし、事実上の放棄、取り分がない分割協議の趣旨であり、自由意思により作成されたものなら事実と相違していても無効なものでなく、改めて分割を請求されることはありません。相続税の申告上、配偶者の税額軽減等の特例を受けるために避産分割が成立したことを示す資料としてこの証明書を利用するときは、他に名義変更された謄本等の事実を示す書類を添付する必要があります。(2)事実上の放棄と相続放棄この証明書は事実上の放棄といわれていますが、法律上の相続放棄ではありませんので、財産を承継した他の相続人が債務を万一弁済しないときは法定割合だけ債務を負うことになります。財産目録を確認した上でこの証明書を交付した方が良いでしょう。面倒だからと言ってこの証明書による手続きなど簡便な方法に惑わされず、親の相続手続きを謙虚に受けとめ、後日のトラブルをなくするためにも、きちんと全遺産についての分割協議書に署名・押印することが賢明です。

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