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土地代金を手形で貰ったら不渡りになったが②

2019年5月20日「月曜日」更新の日記

2019-05-20の日記のIMAGE
詐欺罪にならないという点は不服かもしれませんが、詐欺というのは、Aが土地を買うときに、Aがあなたを騙してやろう、という意思がなければ成立せず、「そのときは騙すつもりはなく、Bに売った代金で、ちゃんと手形金を支払うつもりでいた」と頑張れば、Aは詐欺罪にはなりません。Bに売った後で、よんどころない事情で別の方面に金が急に必要になった場合や、あるいは意思薄弱でついつい金を使った場合でさえ、初めから騙すつもりでやらないかぎり、詐欺罪にはならないのです。それに、Bに売った金をもう使っていたとすれば、Aが詐欺罪で懲役にいくとしても、A自身にも金の吐き出しようはありません。そこで、代金(この場合は手形金でもある)はあきらめるとして、土地そのものは取り返せないだろうか、という点ですが、これもまずだめでしょう。Aに対しては売買代金不払いを理由に、売買契約を解除できますが、契約解除によって第三者の権利を害することはできない(民法五四五条一項但書)ので、Bに移った所有権や、さらにCに移った所有権を害することはできず、つまりは土地を第三者から取り返すことはできないのです。Aに対して、土地を買い戻して返還するように請求できるだけですが、Aに資力がなければどうしようもないことです。最後にBもAに代金の支払いが全部終わっていない場合には、Aに代わって直接Bに代金を請求することができます。これは、あなたがAに対する債権者であることによるものですから、Aに対する債権を保全する範囲内に限られます。Bが支払いをしない場合には、Bに対し、訴訟や仮差押え、差押えなども、一定の手続きで行えます。これを債権者代位権といいます(民法四二三条)。ただし、これは、Aにあなたの債権を弁済するに足る他の資産のない場合のことで、Aに他の資産がある場合には、Bに対して請求することはできません。この場合、CもまたBに代金を払ってないと、さらに代位を重ねて、Cに代位請求ができます。また、BはAから土地を買ったのではなく、タダで贈与を受けていたというような事実が判明すれば、詐害行為取消(民法四二四条)の方法もありますが、これはかなりむずかしく、専門家に相談するほかないでしょう。

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