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買った家の敷金は買主が返還する義務を負うのか

2019年5月18日「土曜日」更新の日記

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私は数年前ある人が賃貸中の家屋を買い受け、やっと明け渡してもらうことになりましたが、借主が敷金を返してくれといってきました。敷金を受け取ったのは前の家主だから前の家主が返すのが本当だと思いますが、いかがですか。これが権利金だったらどうですか。賃貸中の家を買い受けた場合は、前の家主と借主との間の貨貸借契約が、当然買い受けた新家主と借主の間の契約として存続することになります。そして、旧家主がその賃貸借契約の際に借主から敷金を取っていれば、旧家主は契約上の義務として、賃貸借契約終了のとき敷金を返す義務を負い、これもそのまま新家主に受け継がれます。したがって、あらかじめ賃貸中の家を買い受ける際に旧家主との間で敷金を取ったかどうか、いくら取ったかを明らかにしておいて、敷金を受け継いでおくか、代金から敷金相当額を差し引くかしておかなければ損をします。その点の注意を怠ったのは残念ですが、あなたの場合は仕方がないから敷金をいくら払ったかを確かめて、敷金相当額を借主に返還して家を明け渡してもらい、その上で旧家主に敷金の引渡しを求めるか、不当利得の返還を求める請求をするよりほかありません。なお賃借人が家賃の支払いを怠っていたり、あるいは建物などを壊して損害賠償を請求できるときは、敷金相当額から、その分を差し引いて余った分だけ返せばよいし、あなたの代になってからはそのようなことがないとしても、旧家主のときにあったとすると、やはりその分を差し引いた残りを返せばよいのです。ところで、権利金を受け取った場合はどうでしょうか。地代家賃統制令の適用されていた家屋の場合には、権利金の授受は法律で禁じられていたので、権利金授受の約束が貸主と借主との間で成立しても無効で、実際に権利金の授受が行われても、賃貸借契約上の権利義務の関係として残りません。ですから、権利金とはいっても契約終了の際に延滞賃料と差し引いて返すというような特約があれば、実際は、敷金の性質を有するわけですから、敷金について述べたところがそのまま当てはまるわけですが、その他の場合でしたら、権利金を支払った目的、貨料に対する権利金の額、賃貸物件の使用目的などから、場合に応じて判断するしかおりません。弁護士にまかせる方が安全でしょう。

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