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代金減額も契約の解除もできないことになる!?

2019年5月15日「水曜日」更新の日記

2019-05-15の日記のIMAGE
あなたの場合には、一平方メートル当たり何円で、これに登記簿上の面積を乗じて代金額を決めた契約であれば、たとえそのことが契約書になくとも、その合意で契約書を交わしたのであれば、数量指示売買に当たることになり、その不足面積の割合に応じて代金減額請求権を有することになります。したがって、代金全額を支払済みであれば、不足面積分の代金を返還するよう請求できますし、一部しか支払っていなければ、不足面積分の代金支払いを拒むことができます。さらに、そのような不足がある土地であれば買わなかったという事愉があれば、売買契約を解除して、契約を白紙状態に戻すこともできます。ところが、一平方メートル当たり何円という計算方法で代金を決めたのではなく、土地の全体を評価して代金を決めたのであって、登記簿上の所在や地番とともに、平方メートルを契約書に記載したにすぎないという場合、つまりその土地を特定するものとして登記簿上の面積を契約書に記載したものであれば、この契約は数量指示売買とは、みなされないことになります。したがって、あなたが、土地の代金を決める際、実際に現地を見て、この程度の広さなら店舗用としてもよいと思い、土地全体をいくらとして代金を決めて契約をした場合であれば、先の数量指示売買にはならず、代金減額請求はできないことになります。このように解されているのは、土地の面積は登記簿上と実際とでは、一致しないことが多いということは、一般に知られているという理由があるからです。しかしこの場合でも、不足面積が買主の予想以上の大きいものであれば、錯誤(民法九五条)を理由に売買契約全体の無効を主張して、代金の返還を請求できる場合もあります。このようなことから売主が「土地の面積は登記簿表示による。実測面積が契約書表示の面積と相違しても売主、買主ともに異議を申し立てない」というような契約書を持ってきた場合には、十分注意することが必要です。代金減額請求が認められる場合には、買主が売買契約の後、面積不足を知ったときから一年以内に、その旨の請求を売主にしなければ、代金減額も契約の解除もできないことになりますので、注意してください。

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