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相続人の」人から相続人全員共有の土地を買ったとき②

2019年5月12日「日曜日」更新の日記

2019-05-12の日記のIMAGE
またかりに、あなたがAに対しては、代金減額や損害賠償請求をしたうえ、Aの持分でも我慢するとしても、あなたとB・Cとは、この土地全体の三分の一ずつの持分(A・B・Cが子の場合)で共有している状態なので、たとえば、あなたが、三分の一の持分があるということで、この土地を事実上三分の一に切って、勝手に東側の三分の一の土地部分を処分するというわけにはいきません。すなわちあなたは、この土地の三分の一の持分という土地のどことも特定しない、いわば抽象的な持分しか処分できないことになります(遺産分割手続きをしていない以上、仕方がない)。したがってあなたが、この土地の東側の三分の一を取得したいということになれば、B・Cとの間で共有物分割の協議をし、これがうまくいかなければ、裁判所に共有物分割の申立てをすることになりましょう。これによって土地のどこが、あなたのものになるのかが確定しますので、それによって、あなたは、自由に家屋を建てるなりすることができるようになります。ところで、がりにB・CがAに、この土地の管理をまかせるという理由などからAを、この土地の単独所有の名義者とすることについて同意していた場合は、どうでしょうか。この場合には、Aが勝手に単独の所有名義としたのと事情が異なり、B・CもAの単独所有名義登記ということに、いわば協力した形になり、実際とは異なる登記名義の出現に加担したという一種の落度があるわけですから、あなたが、そのようなA・B・Cの内部事情を知らずに、A名義の登記があることから、Aから買い受けて移転登記をしたとすれば、B・Cの要求を拒むことができ、この土地全部の所有権を取得できることになります(民法九四条二項類推)。ただ、民法九四条二項によってあなたが保護される場合というのは、このような場合だけでなく、具体的にはA・B・Cのかかおりあいによって、いろいろなケースがありますので、複雑な内部事情がある場合には、専門家の意見を聞く必要がありましょう。

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