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買った家にいる借家人に明渡しをしてもらうには

2019年5月10日「金曜日」更新の日記

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売主がすぐにも明け渡してもらうことになっているというので、借家入の入っている家を買いました。ところが、買ってから交渉してもいっこうに明け渡してくれません。どうしたらよいでしょう。家の借主は、その家に住んでいる限り、その家が売られて家主が替わっても、依然としてその家に住んでいる権利を持っております(借地借家法三一条一項)。ですから、前の家主が貸している家を買い取るときは、借主に出て行ってもらってから買い取るか、さもなければ買い取っても借主が明け渡さない限り自分で住めないことを計算に入れて、損をしないよう安く買い取るかしなければなりません。あなたの場合、売主である前の家主がすぐにも明け渡してもらえるようになっているといったというのですが、前の売主と借主との間で、明渡しについての協議ができたり、あるいは、和解調書や調停調書ないしは判決でもあれば格別、さもなければなかなかすぐにも明け渡してもらう、などということはできません。あなたの場合、和解調書や調停調書あるいは判決などが存在するのでしたら、任意に明け渡してくれない借主に対して、強制執行をかけて強制的に明け渡させることができますし、明渡しについての協議ができていれば、それを立証して明渡しの判決を得ることも可能です。しかし、そのような事実が何もないのなら、すぐにも明け渡してもらえるというのは売主の口実で、あなたがそれを信用して買ったとしても、借主に、だから明け渡してくれ、という理由にはなりません。したがって、通常の場合と同様、明け渡してもらわねばならぬ正当の事由があることを主張して、解約の申入れをしなければなりませんが、借家人が入っているのを承知で、しかも明け渡してもらって自己の住居にしようとして買ったという場合だと、正当の事由の有無の判定に当たっては不利を免れません。しかも、期間の定めのある賃貸借契約である場合だと、賃貸借契約の期限が終了するまでは、正当事由があってもいかんともなし難いということになるでしょう。そして、どうしても明け渡してもらえない場合だったら、売主に対して損害賠償を請求するか、売買契約自体を解除して、代金を返してもらうより仕方かおりません。いずれにせよ、人の住んでいる家はやたらに買わぬことで、もしどうしても買わねばならないのだったら、空家にしてから買うか、さもなければ、空家になったら代金を支払うという契約をしてください。

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