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違法な勧誘なら賠償請求もできる

2019年5月5日「日曜日」更新の日記

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変額保険は一種の投資信託と言える金融商品で、運用実績は証券市況の実績に左右されますし、また、相続税対策としての有効性も、変額保険の運用実績や借入金の金利水準、不動産価格の推移等によってかなり結論が異なるので、長期間にわたる不確実な要素に賭ける面が強く、非常にハイリスクな取引です。ところで、生命保険の勧誘では、運用利回り等についての断定的判断の提供は禁止されていますし(保険業法三〇〇条)、またパッケージ販売では契約者のリスクが非常に高くなるので、取引通念上も、勧誘する者にはこのようなハイリスク性の説明をすべき注意義務が認められるべきです(参考として、東京高裁・平成八・一・三〇判決、東京地裁・平成五・六・三〇判決など)。したがって、このような義務に違反する勧誘行為があった場合には、不法行為(民法七〇九条)が成立し、契約者は払込保険料や銀行へ支払った利息等に相当する金額を損害賠償として請求できることになります。また、変額保険の契約者が生命保険会社の社員等の誤った説明や断定的な説明によって、変額保険についての理解を誤ったり、相続税対策の意義や内容を誤解したような場合には、変額保険契約が錯誤により無効とされて支払った保険料の返還を請求できる場合もあります。さらに、勧誘に銀行員が深く関与していた場合には、銀行にも損害賠償責任を認めたり(大阪地裁堺支部・平成七・九・八、富山地裁平成八・六・一九、横浜地裁平成八・九・四)、保険料支払いのためのローン契約が錯誤により無効とする判決(東京地裁平成八・七・三〇)も出ています。このような責任は「融資者責任(レンダー・ライアビリティ)」と呼ばれ、アメリカでは良く知られていますが、これからは我が国でも融資者責任が追及されるケースが増えるものと思われます。

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