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加入した変額保険の受取保険金が借入金の半分に

2019年5月4日「土曜日」更新の日記

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都心で代々商売をやっていますが、取引先のA銀行の行員から勧められ、相続税対策のためにB生命の変額保険に加入しました。保険料の二億円は、店舗兼自宅の土地建物に根抵当権を設定して、全額A銀行からの借入れでB生命に支払いました。契約の際には、A銀行の行員やB生命の社員から「変額保険の運用利回りが九%以下になることはない」とか「相続税対策をしておけば借入金を返済しても五千万円位は得をする」等という説明をされ、それを信用して契約しました。しかし、最近届いた変額保険の運用実績報告書によると、受け取れる保険金ではA銀行からの借入金の半額程度にしかなりません。相続税対策どころではなく毎日不安でたまりませんが、何か対策はないですか。わが国でも昭和六一年一〇月から、払込保険料の運用実紋に応じて保険金等が変動する「変額保険」の販売が解禁されました。そして、その後のバブル経済に乗じ、相続税対策を売り物にして変額保険と銀行のフリーローンを組み合わせた「パッケージ販売」が急増したのです。しかし、変額保険のパッケージ販売は、ベフル経済の崩壊により変額保険の運用実績が急落し、保険金でローンの返済をしても大きな借金が残る事態となっており、自殺者も出るなど大きな問題となっております。このパッケージ販売では、①保険契約者と生命保険会社との間の変額保険契約、②保険料に充てる資金を借りるための銀行のローン契約、③その利息の支払資金を借りるための別のローン契約、④これらのローンを担保するための根抵当権設定契約が組み合わされたものとなっています。しかも、銀行員が債極的に勧誘して顧客を生命保険会社に紹介するなど、実際上は銀行と生命保険会社とがかなり密接に運携している例が少なくおりません。この方法による相続税対策の仕組みは、たとえば不動産はあるが納税資金に困っている人が、不動産を担保に資金を借りて自分を被保険者とする変額保険に加入しておけば、死亡時に払われる保険金で納税資金を賄うことができる(納税資金準備型)、あるいは被相続人が銀行から借入れをして、自分を契約者、相続人を被保険者とする変額保険に加入しておけば、相続債務を増加させて相続開始時の資産評価を減らして相続税が節税できる(資産評価引下型)と説明されています。いずれの場合でも、変額保険の運用が高利回りで推移すれば、受取保険金と借入金返済および納税資金の収支のトータルではプラスになり、相続税対策として有効だと説明されているようです。実際の勧誘でも変額保険の高率の運用利回りについての断定的な説明がなされたり、相続税対策の有効性がシミュレーション表などによって断定的に説明された例が多いようです。

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