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価値のない土地をローンで購入したがそれでも支払うのか

2019年5月1日「水曜日」更新の日記

2019-05-01の日記のIMAGE
他方では割販法の抗弁権接続の規定は法律によって創設されたことを理由に、割販法の適用がない場合、抗弁の対抗を否定した最高裁判決(平成二・二・二〇)もあり、不動産業者とローン会社の密接性などがないと抗弁の対抗は難しいと考えられます。なお、物件の瑕疵や業者の欺罔行為は、売買契約に限らずローン契約上も「動機の錯誤」ではあっても、契約内容上、当然前提となる内容の錯誤として無効となることもあるでしょうし、さらに業者の取引が詐欺であったことの不知につき重大な過失があったといえるので、「第三者による詐欺(民法九六条二項)」として(東京地裁・昭和五六・一二・二一判決など参照)取消しができる場合もあるといえます。以上では、ローンの支払を拒絶できる場合があることについて述べましたが、最近、融資者責任(レソダー・ライアビイリティー)が注目されています。融資者責任とは、金融機関が取引に必要な資金を融資したことから発生する損害賠償責任などを指しますが、例えば悪質な土地取引に銀行が積極的に関与して、購入者に購入代金のためのローンを組ませることによって二束三文の土地を高額な値段で買わせたような場合に、不動産業者だけでなく、金融機関も顧客の受けた損害の賠償責任を負うべきだという考えです。実際にも、原野商法にかなり深く関与し、顧客にローンをつけて買わせていた銀行の融資者責任が認められた判例(名古屋地裁平成六・九・二六判決)も出ていますので、かなり例外的なケースにはなりますが、ローン会社に損害賠償請求ができる場合もあります。

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