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組織が不似合いな経済通の努力の天才

2018年10月11日「木曜日」更新の日記

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先生は、どんな時でもトップにならなければ気がすまないほど負けず嫌いであると同時に、一番前を走っていないと心が落ち着かないらしい。陸上競技のランナーならそれもよろしいが、こと経済界となると、この形はとても危険を伴う。というのは、スポーツなら出発からフィニッシュまできちんとコースが定められ、安全な道程を走ることになるが、経済のコースはそうはゆかない。前方が見えなくて、菠あり崖あり泥沼ありで、下手をすると落し穴があるかも知れないし、時には迂回した方が正解ということもある。だいいち、走るコースなどあると考えるのがおかしいので、場合によっては走るのを断念して、別の方角に迷った方がうまくいく、ということもある。それ故、新しい業界では、一番先を走る人は大変な危険を背負うので、利口な人は二番手を走り、転ばないように用心し、危険と不安と失敗を一番手に担保させ、負担させる。先生は、こんな原則などとうの昔にご存知である。承知されながら、それでも先生は真先に飛び出し、一番手を悠々と走られる。別に、坊っちゃん育ちだから、無謀なわけではない。不用心なのでもない。とても用心深い。細心でもある。誰よりも学識があり、勉強家である。失敗も嫌う。それでも先を歩む理由は、勇気があるということと、開拓者精神が旺盛なためである。それと、反骨精神。日本人の統治による不条理に育った青春時の反骨である。先生は、大きな組織を作らない。弟子をたくさん育て、アゴで使うことをしない。集団を作って、戦力を使い、相手を威嚇したりしない。組織で知名度をあげ、肩書で威圧したりしない。いつも自由であり、自然なほど素朴であり、相手が誰であろうと、対等に接してくれる。しかも、二コニコ笑っておられる。たくさんの事業をやり、多くの文化事業に貢献しておられるのに、自分を成功者だと言ったことがない。もちろん、ケタ違いの事業家であり、大成功者の社長であるが、私達に対する態度は謙虚であり、まるで兄弟子とでもいった感じである。“私も修業の身”といわれる。いつも反省されるので、進歩も早い。「先生は私の10倍濃く生きておられますね」と言うと、「なに、鈴木さん。あなたは止まっているけど、私は前に行くから、20倍ですね」と、軽くニコリとして、肯づかれる。何もなくても大先生なのに、毎日精一杯努力される姿に、誰もが感動する。それでも、私は脱帽しない。あえて先生に挑む。一歩でも先生の域に近づきたいから。

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