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弟子作りの名人

2018年10月9日「火曜日」更新の日記

2018-10-09の日記のIMAGE
人を見て法を説け、という言葉がある。学のある人に易しい事を教えても、嫌な顔をされるかバカにされるだけである。教養のない人には、身近な例に置き換えて、目常の言葉で説明しないと解ってもらえない。私達が新入社員を採用する時は、会社の概要を説明し、条件と仕事の内容で合意し、入社していただいてから、仕事に合う合わないを判断する。だから、そこに社長個人に対する信頼関係など存在しない。存在しないから、せっかく入社しても、都合が悪くなると、いつでも辞めてしまう。残念なことである。もし社長との信頼関係が成り立ち、常に交流していたら、辞める人はグンと減るだろうに。その点、横から見ていると、先生は弟子作りの名人のように思える。先生は最初インターネットで、“こんな面白い仕事があります。興味のある人がいたら、ぜひ応募してください”と、ネット募集をする。よさそうな人が来たら、すぐ9日間の中国視察旅行に同行させる。北京に行けば、先生が建築した三全公寓の客室に泊らせ、地方を廻りながら、昼夜の食事を共にする。席は、先生の隣り。円いテーブルなので、同行の会員から何やかやと質問や意見が出され、先生はすべてにていねいに答えられる。初めて聞くことあり、意外な話あり、うん蓄話あり、経済で儲けるコツあり、文化の考え方ありで、旨い料理以上に舌つづみをうつことになり、新米弟子は頭の中まで満腹となってしまう。上海に戻って、美しいビル群や歴史を語る租借地街以上に、先生のすばらしい経済情報の講演を聞く。その間、弟子候補は先生のそばにいるだけで、胸が高鳴り、感動し、先生に対する信頼を深め、先生の弟子となり、邱グループの社員となることを納得し、望むようになってしまう。つまり、邱先生に9日間同行するだけで、何も言われなくても、自分の生きる道をみつけ、自分の新しい道を歩いてしまうのである。先生は、決して相手を説得はしない。私達と異なる意見で対立する時も、自分の意見をはっきりと述べ、次に相手の意見も聞く。また返答するが、相手に考える時間を与え、また意見を聞く。論法は自由闊達であり、対等な立場をとる。難しい質問や難題には、努めて唖然とするジョークを飛ばす。なるほど、と思わせる一発である。それ故、先生の人柄と英知に魅せられて、誰でも弟子入りしてしまう。見ていて、弟子作りの名人とは、こういう人をいうのではなかろうか、とつくづく感心してしまうのである。

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