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保証に関する特約

2018年9月20日「木曜日」更新の日記

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AのBに対する甲債権をCが保証しているとき,保証人Cの地位は,Aに対する全部義務者としては,主債務者Bのそれに類似する。しかし見方を変えると,Cは,一旦代位弁済をした場合の事後求償権者としてはもとより,事前求償権者としてもBに対して甲債権を行使できる地位にあり,債権者Aと類似する。その意味で保証人は債務者と債権者との二重性を有しているといえる。後者の観点からは,CもまたAと共に,一人の債務者Bを取り巻く債権者の集団の一員であり,債権者Aと保証人Cとの関係も,債権回収の集団的秩序の中に位置づけられなければならない。このとき,AとCとの間には保証契約が存在しているが,甲債権について複数の保証人が立てられている場合には,これらの保証人間にも内部負担,したがって求償の範囲をめぐって合意がなされていることがある。ヨリー般的に,一人の債務者Bをめぐって債権者が複数ある場合には,そこにBの債務を基礎づける個々の債権者とBとの間の合意とは別に,債権者の間に,債権回収について主としてBの責任法関係に係る契約が結ばれていることがある。このような契約を債権者間契約と呼ぶとすれば,これは債権回収の集団的秩序を,契約によって予め設計するものと理解することができる。本章が取り扱う保証が介在している場面では,債権者間契約の一類型として,保証人間の合意および保証契約上の特約が問題となる。このような債権回収秩序の契約による設計に能動的に参加する保証人は,情誼に基づく個人保証人ではなく,合理的な計算に基づく法人保証人であるのが通常である。この法人保証のなかでも信用保証協会が行う協会保証と呼ばれる実務は重要な判例法理を形成してきた。そこでこちらでは金融機関を債権者とし,信用保証協会を保証人とする場面(「マル保融資」などと呼ばれる)を主として念頭において,債権回収の集団的秩序を再設計するためにどのような契約条項が用いられるのか,判例法理によってそれは如何に規律されているか,を見てゆくことにする。

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