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東京湾岸の臨海倉庫

2018年9月17日「月曜日」更新の日記

2018-09-17の日記のIMAGE
対象不動産は,千葉県の東京湾の臨海部にある6階建ての物流倉庫です。周辺は,大規模な倉庫,物流センター等が連担する工業地域です。最近,物流倉庫がREITや不動産ファンドの投資商品として扱われています。日本の工場が中国へ生産拠点を移転し,産業の空洞化が問題になっている状況からみると,驚きです。REITや不動産ファンドの投資商品として扱われている倉庫には,次のような特徴がみられます。①稼働率が100%である。②テナントが優良である。③倉庫の機能性が優れている。④敷地規模・建物規模が大きい。⑤賃料収入が年3億円以上,坪単価が7,000円以上である。ただし,次の点をチェックしなければいけません。①多くが大手テナント1社に賃貸されているため,その会社が転出した場合,同じような賃料負担力のあるテナントが入居する可能性が低い。②建物の機能性を維持できる耐用年数は20~30年程度であるから,陳腐化の波にさらされやすい。③工場・倉庫が存する工業団地は高速道路のインターチェンジからのアクセスが重要であり,また格の相違がある。工業団地の価格は,前述のとおり,産業の空洞化によって下落傾向が強く,他の用途に比べても,低額な水準になりました。そのため,積算価格と収益還元法による価格との差が2~3倍になる一収益価格が積算価格を上回るーケースが多くみられます。これは,一面で点と面の問題を含んでいるものと思われます。工業団地にある全ての倉庫・工場が同じ賃貸条件であるということはなく,稼働率が50%であったり,空地があったりします。100%稼働している倉庫は,点である可能性が高いといえます。点が面を代表するものでもなく,一方で空洞化が進んでいるわけであり,面での広がりには欠けています。いずれにしても,賃料収入は億単位であり,賃貸内容は良いと言えます。一方で,空室リスクや賃料水準リスクをキャップレートに反映させる必要があります。鑑定評価の手法は,有期還元法を主としました。併せて,評価額を土地と建物に分ける場合に単純に積算価格比で行うと,問題が発生することに留意すべきです。テナントとの賃貸借契約の内容・期問,賃料水準,建物の耐用年数および機能的な陣腐化等を考慮し,グロスのキャップレートを12%と決定しました。

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