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なぜ、絶対基準なのか

2018年9月8日「土曜日」更新の日記

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そもそも、評価とは何かと比較することです。「何か」が明確な基準類であれば、それは絶対評価となりますし、他の評価対象との比較であれば「相対評価」となります。住宅性能表示制度とは、実は、この絶対評価をおこなうための評価基準を打ち立てようという試みです。それは、基準によって判断する内容が客観基準に基づく「等級」であるものが多いことから明らかです。なかには、高齢化対応などのように、等級ではなく部屋の中の段差の有無などの項目でチェックするやり方もありますが、ほとんどは対象となる住宅を等級でランクづけします。ある住宅の構造安全性は等級3、断熱性能は等級2、という具合です。評価をする場合に、相対評価のほうが簡単であることは間違いありません。定性的な項目で2つのものを比べるときは、必ず相対評価の積み重ねとなります。たとえば2人の男の人がいて、どちらが良い人なのか判断をするとします。まず、どちらが美男子かという判断はできるし、多くの人がそのとおりだと納得するという意味で、ある程度客観性を持つことも可能です。しかし、ランクづけとなるとこれは格段に難しくなります。曖昧な判断基準で相対的な判断をおこなう、それも複数の人がその判断に参加するような一種の多数決で、どちらが上かを決めることはできます。しかし、絶対的な判断基準自体をこうした方法で決めて、納得を得ることは難しいのです。2人の男性の能力を比べるのは、試験をやることである程度可能です。もちろん、試験結果には運も入りますし、能力をすべてはかれるわけではありません。しかし、一応納得を得られる客観性は確保できるでしょう。ただし、試験結果によるランクづけは慎重にやらなければなりません。英語を使う仕事を任せる相手の評価であれば、TOEICの試験で何点以上という基準となるでしょう。ホストクラブでのホストを雇う場合には、絶対評価は困難です。応募してきた人の中で、相対評価をおこなうしかありません。しかし、雇うまではそれでよくても、給料を決める場合はそうはいきません。こうした場合、多くはその人の稼ぎに応じて給料を決めることになります。稼ぎ高という絶対評価項目で決めるのです。だいぶ脱線しましたが、言いたいことはこのことです。つまり、2軒の住宅があって、評価するのであれば相対評価でよいのです。しかし、その住宅をいくらで買うかを決めるためには、その価値を絶対評価にする必要があります。市場での取引には、絶対評価が不可欠なのです。今回の住宅性能表示制度が、困難な絶対評価に挑んだ理由はここにあります。住宅の価値を決める評価は、絶対評価による必要があるのです。

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