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自動車購入との違い

2018年9月6日「木曜日」更新の日記

2018-09-06の日記のIMAGE
ここで少し観点を変えて、インターネットで自動車を買うことを考えてみましょう。自動車、特に中古車については、すでにインターネットで購入することができるようになっています。その場合、現物を見ることはできませんが、そのモノについて第三者機関(ネットを主宰している事業者)が客観的に評価することで、消費者は一応安心して自動車が買える仕組みになっています。同じことを分譲マンションを買うことに使えないでしょうか。この場合は、どちらも現物には触れることができません。実物の写真などがあるでしょうから、図面よりは具体的な情報で判断することはできますが、マンションも自動車も画面上の文章と絵で判断するしか方法がありません。この場合、自動車を買うことと家を買うことは、基本的にほとんど違いがありません。しかし、それでも自動車は買えても家は買えないのです。なぜでしょう。それは、住宅の価値がわからないからです。家の場合は、何をもって評価したらいいのかはっきりしません。自動車は、たいていの場合、その価値が世間ですでに明らかになっています。雑誌や評論家による評価がありますし、そもそも一般の消費者にも自動車について一家言持つ人が少なくありません。デザインだ、トルクだ、居住性だと、自動車を評価する基準もある程度決まっています。つまり、自動車については、判断基準が社会の共通認識としてあるのです。ですから、第三者機関の評価をもう一度消費者が自らの評価として捉え直して、自分なりの判断ができるのです。その証拠に、大メーカーがつくる大量生産車でない自動車を、果たして一般の方がネットで購入できるでしょうか。判断基準のわからないモノは、抽象的な情報では買えないのです。逆にいえば、住宅でも判断基準が社会で共有されていれば、十分ネットワークでの購買が可能なはずです。現に、住宅であっても賃貸住宅、特に住環境の条件がはっきりしている若い人向けの賃貸住宅では、ネットでの取引が可能となっています。職種が多く関係するなどの専門性の壁があり、さらに、現場施工という一品生産的な要素を持つ住宅の価値を、一般の消費者が自らの能力と責任の範囲で評価することは難しいことです。しかし、社会的に共有された判断基準があれば、「何が良い住宅か」という判断をその基準に基づいておこなうことができます。つまり、適切に評価する社会的に認められた基準が未だ存在しないことが、住宅を購入することをこれだけ難しくしているのです。

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