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土壌汚染による企業経営への影響

2018年9月5日「水曜日」更新の日記

2018-09-05の日記のIMAGE
●土地売却時  土地売却の際には、融資の際に土地を担保とするケースが多いこと、欧米企業による土地買収の増加や、都市部での再開発の増加から、欧米のように土地調査を行うことが慣例化されつつあり、汚染が発覚されるケースがある。この時、土地の売却主にとって、土地取引の中止、土地売却益の低減、浄化対策費用の自己負担、買戻し等余儀なくされた例があり、場合によっては自治体の計画していた再開発自体が中止になった例もある。土壌汚染防止法では、汚染土壌を売却する際には、汚染した者に浄化義務が課される。 ●操業時  操業中の工場における汚染浄化の場合、浄化費用いわゆる直接的な汚染修復コストに比べ、工場の操業停止、行政や地域化民との対応、企業イメージの失墜などの問接的な汚染修復コストによる損害が以外に大きいことを企業が認識する必要があるだろう。現実に、操業中の工場から出る排水を調査し、規制値以上のダイオキシンが検出され、マスコミに報道され社会的に注目されたことは記憶に新しい。また、土壌汚染対策法施行後、滋賀銀行は、法的に土壌汚染区域と指定された既存担保の土地評価額をその土地の浄化が完了するまで「O円」とすることや、有害物質を取り扱う工場はその土地を新規担保としないことを決めた。  今後、企業の未然防止管理や事後処理の能力がより一層問われることになろう。 ●財務会計から企業経営を考える一財務諸表に土壌汚染情報を開示?  環境負債は、過去の環境汚染に伴って発生した被害に関連する将来的な支出、環境浄化に伴う負債と定義され、環境コストを生じるような債務がある場合に認識される。例えば、アメリカでは、スーパーファンド法の施行により土壌汚染などの環境負債を財務報告書の中で開示し、環境事象がその企業に対して将来どの程度の負担になるか等のリスク情報を記載している。  日本公認会計士協会では、財務会計の枠組みの中での環境会計の国際的研究動向について調査した報告書を作成した。この中で、東京都など自治体による土壌汚染に関する条例策定の動きから、現在は企業会計上の汚染土壌の浄化について法律上の債務ではないケ-スも、将来そうなる可能性が十分にあるとしている。また、土壌・地下水汚染の記職や環境会計上の環境損傷コストの開示が、環境報告書等にはあるが、財務諸表にはほとんど反映していないため、環境汚染が企業価値に影響を及ぼす現状から、財務会計の中で土壌汚染の開示に関する枠組みの整備の必要性を報告している。  企業は、財務会計の中で土壌汚染情報を開示する必要がでた場合、企業の資産価値や利害関係者へのイメージがどう変わるのか考える時期にきている。

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