税務署から送られてくる「お尋ね」にはこう答える
2018年6月29日「金曜日」更新の日記
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- マイホームを購入して「さあ、これからがんばってローンを返していくぞ!」と思っているところに、税務署から「お買いになった資産の買入価格などについてのお尋ね」という質問書が送られてきます。
この「お尋ね」というのは、「購入した家や土地の購入資金がどこから出たものか」を調べるために税務署から送付されてくるものです。「今までに申告していなかった所得ではないか」または「購入資金が贈与されたお金ではないか」など購入資金の出所をチェックするためのものというわけです。
それでは、この「お尋ね」に答える際に困らないためにも、どのようなことに事前に注意しておけばよいのかを見ていくことにしましょう。
①購入資金を夫1人で出した場合
まず、購入したマイホームの価額が取得者の収入に比べて高すぎる場合です。この場合は、税務署は「こんなマイホームがなぜ買えたのだろう」と疑問に思いチェックが厳しくなります。
税務署は「お尋ね」に記入されている「資産を買い入れた年の前年の所得」を基準にして判断するので、マイホームの購入価額と収入が妥当でない場合も生じてきます。もし、「前年に宝くじ500万円が当選した」などの臨時収入があった場合などには明記しておいたほうがいいでしょう。
②購入資金を夫婦2人で出した場合
夫婦2人で購入資金を出す場合に注意しなければならない点は「共有者」の欄に記入する持分割合です。この持分割合は、購入資金の負担割合と必ず一致していなければなりません。
夫婦共働きの場合によくあるのが、頭金の負担割合で持分割合を決めるケースです。このケースで残りのローンを夫1人が返済していく場合には、贈与税がかかってきます。なぜなら、共有者の持分割合は、それぞれが負担する頭金だけでなく、ローン分も合計して全体としての負担割合を計算するからです。
たとえば、マイホームの購入価額が4000万円の場合、頭金を夫が800万円、妻が400万円、残額2800万円は住宅ローンを借りて夫1人が返済していく場合の持分割合は、
①夫・・・(800万円+2800万円)÷4000万円=9/10
②妻・・・400万円÷4000万円=1/10
となります。
また、共働きで毎月の返済額も2人で支払っている場合、途中で子供が産まれるなどの事情で妻が仕事を辞めて残りを夫1人が返済していく場合にも、贈与税がかかってしまいます。
このような場合には、妻が仕事を辞めたならすぐに持分割合を計算し直して、登記の変更を行なっておくほうがいいでしょう。また、産休などで2~3ヵ月休職してから復職する場合には、登記の変更は必要ありません。
税務署は共働き夫婦が共有名義でマイホームを買ったような場合には、買った時点だけでなくローン返済が完了するまで目を光らせているので注意してください。
③購入資金を親から借りた場合
購入資金を親から借りた場合に注意する点は、税務署に対して親から借りたお金を「借金」として認めてもらうことです。もし、認めてもらえなければ「贈与」ということになり、高額な贈与税がかかってくることにもなりかねません。
税務署に対して「借金」として認めてもらうには、以下の点に気をつけてください。
①書類を作成すること
親子間においても「金銭消費貸借契約書」を作成しておきます。
②利息を支払うこと
利息を計算する際の金利が、市場金利より低い場合には贈与税がかかってくる場合があります。
しかし、市場金利で計算した利息と実際に支払う利息との差額が1年間の合計で60万円以下ならば、贈与税の基礎控除額以下なので贈与税の心配はありません。
③返済期間
きちんとした期間は決められていませんが、20年ぐらいが妥当といえるでしょう。しかし、現在の親の年齢が80歳で返済期間を20年とした契約だと、返済を開始して間もなく親が亡くなる可能性もあります。この場合には、贈与者が初めから返すつもりがないと判断され贈与税の問題が生じてきますので、親の年齢も考えて返済期間を決めてください。
④返済方法
税務署が一番ポイントに置いているのが、子が親にきちんと借りたお金を返済しているかどうかです。親子間のお金の貸し借りの場合、「ある時払いの催促なし」といったケースが多いからです。こうなると贈与税の対象となります。
したがって、親にお金を借りた場合の返済方法は第3者から見てきちんと返済しているという証拠を残すことです。この場合、親に直接支払うよりも銀行の自動振替を利用するのがいいでしょう。そうすれば、毎月返済している証拠が残ります。
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