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子どもの居場所

2018年5月23日「水曜日」更新の日記

2018-05-23の日記のIMAGE
 子どもは成長の過程で、自我に目ざめ、自我を確立し、自立する、というプロセスを経ます。親はこうしたプロセスをとおして、育っていく一助になるようにと、子ども部屋をあたえます。  家が狭いために、お父さんは居間兼寝室できゅうくつに暮らしているのに、子ども部屋だけはりっぱに確保されているのです。  自立心を確立させるために、個室は効果的かもしれませんが、それ以上にたいせつなことは、家族間のコミュニケーションです。団らんのための居間や食堂が家の中心にあり、それプラス個室という家づくりが基本にないと、子どもを個室に孤立させてしまう可能性があります。  親子の対話の少ない家庭は、居間(形のうえではなく、機能している空間)がない家が多い、と分析している人もいます。家のなかでいちばん快適な空間は、家族の団らんの部屋であるべきです。  近ごろの子どもたちはちっとも手伝いをしない、という声をよく聞きますが、それは家の間取りが手伝いをさせにくくしているのではないかと思います。  1階のキッチンで作業をしている母親が、2階にある子ども部屋まで出かけていって、用事をたのむというめんどうを考えると、つい自分でしたほうが早い、ということになります。  私たちが子どものころは、夕げどきにはどの家からも、兄弟げんかのにぎやかな声が聞こえたものです。上の子は庭掃除をいいつけられ、下の子は大きななべをもって豆腐屋さんまで使い走り、といった光景がふつうでした。全員が家事を分担しなければ、夕ごはんにはありつけませんでした。  個室のない生活で育った親たちが、「個室の正しい使い方」を指導できるはずはありません。私たちにできることは、みんなでいっしょにわいわいやる家族のふれあいではないでしょうか。  小学生くらいまでの子ども部屋の機能は、収納と寝ることと着替えくらいと考えれば、北側の狭いスペースでもじゅうぶんです。  4~5歳までの子どもは、母親の存在をいつも近くに感じていたい時期です。母親のいるキッチンは、刃物や火気で危険がいっぱい。しかし、母親の姿が見えていれば、声や視線が感じられれば、子どもは落ちついて遊ぶことができます。

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