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2階に結ぶ階段

2018年5月6日「日曜日」更新の日記

2018-05-06の日記のIMAGE
 プランを考えるうえで、階段の位置をきめるのはいちばん苦労しますが、もっともおもしろいことでもあります。階段の位置は、どのようにでもなると思われがちですが、住まい方がスムーズになるいっぽう、変なところでニ分されると、不自由になることもあります。  リビングルームから、直接2階に上がる階段を設けたOさんの家を紹介しましょう。  20年前に流行した階段はストリップ階段といって、段板のみで構成されているので、階段を美しく見せるだけでなく、1階と2階が吹きぬけになり、それまでの玄関ホールに設けられた階段にくらべると斬新でした。  しかし、この階段はその後、なりをひそめてしまいました。あたたかい空気が階段をとおしてどんどん2階に逃げてしまい、リビングをあたためてもあたためても寒い、というのがその理由です。 石油ストーブが主流だった時代です。  Oさんの家でも、やはりその点が心配で、冬は階段にそってカーテンを吊るしましょうという話にもなりましたが、住んでみるとまったく必要ないことがわかりました。アルミサッシの気密性と空調設備機器の発達もさることながら、断熱材で家中をすっぽりとくるんでいる構造は、部屋ごとの温度差を少なくして、家全体をやわらかなあたたかさで包んでいます。  Oさん宅のもうひとつの自慢は、階段わきの窓のステンドグラスです。好きな作家に注文してつくってもらいました。この窓はニ重窓になっており、ステンドグラス部分が折れ戸になっています。通気するときは、折れ戸をあけて、向こう側の窓をあけます。  Kさんのお宅は、1階に玄関を設けながら、2階に台所とリビングルームをもってきた逆転プランです。ゴミ出しからはじまる1日の行動を階段を通じて行うため、階段の途中の踊り場をゆっくり曲がれるように、段差をつけていません。生活通路だけでなく、Kさんのお宅を訪れるお客さまも、すべてこの階段を利用するので、危険のないようにすることがいちばんの課題でした。  ふつうの階段は、幅3尺(約90センチ)で計画されています。3尺幅の階段は、柱芯が90センチのために壁の仕上がりで有効内法寸法が75センチになってしまいます。さらに手すりを取りつけると、よりきゅうくつです。0さんもKさんも、階段にあたる幅を柱1本分ずらし、10センチほど広くなりました。階段幅にとって、10センチは大きな寸法です。  木造住宅の階段は13段で昇りきりますが、この角度は45度(小屋裏が使いにくいのは、階段が急勾配だからです。ここをモノをもって上がるのはわけありませんが、モノをもって降りるのは、かなりの覚悟が必要)。13段をもう1段ふやして14段にすると、角度がゆるやかになります。

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