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照明は明暗を楽しむ

2018年5月5日「土曜日」更新の日記

2018-05-05の日記のIMAGE
 1畳当たりの照明器具の明るさの目安は、蛍光灯で10ワット、白熱灯で30ワットというのがこれまでの通説でしたが、最近では、それぞれ15ワット、40ワットにアップしているといわれます。  夜になっても、こうこうと電気をつけっぱなしにする傾向は、オフィスやショッピングセンターの明るさに馴れて、家のなかにも同じような明るさをもちこんでいるからではないでしょうか。家庭は仕事場や買いものをする場所ではなく、くつろぐ場所です。明るすぎる部屋にやすらぎはありません。  一度、食卓においたスタンドの灯だけで、ぼうーっとしてみませんか。暗さに目が馴れてくると、窓ごしに見える月明かりや晢明かりの、わずかな変化が見分けられるようになります。  ふつうのお宅では、ひとつの部屋で食事をする、新聞を読む、お酒を飲む、客をもてなす・・・と多目的に使われます。すべてのことを蛍光灯ひとつですますのは、味けない気がします。  食事のときは、テーブルの上に白熱灯のペンダントをあてます。白熱灯は蛍光灯よりも色が自然に見えるので、料理がおいしそうです。新聞を読んだり、手紙を書いたりするときは、蛍光灯とスタンドをいっしょにつけます。お酒を飲んだり、会話を楽しむときは、ダウンライトとブラケットにすると、ひとつの部屋がまるでちがったふんいきになります。  千葉県の岸本さんのお宅のリビングルームには、天井に近い壁面に蛍光灯を取りつけ、それが直接見えないように、グリーンで塗ったモールディング(ふち飾り)で覆っています。天井から反射した光が部屋の周囲にもれて、まるで海のなかにいるようで、お酒が一段とおいしくなるそうです。 この部屋にはこのほかに、シーリング、ブラケット、スポットライト、ダウンライトも取りつけられています。  複数の照明器具を提案すると、狭い部屋にそんなにたくさんの照明器具はいらない、といわれることがあります。しかし、一度に全部点灯するのではありません。そのときに応じて、つけたり消したりするのです。  小さな明かり、かすかな明かりほど、空間に広がりをもたらします。明るすぎる部屋よりも、暗いほうが心がやすまるもので、家族の団らんにも適しているのです。

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