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住みごこちは住宅性能表示では測れない

2018年4月30日「月曜日」更新の日記

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 2000年は住宅業界にとって新しい法律、法規、基準がスタートする年である。  まず、4月1日契約分からすべての新築住宅に10年間の瑕疵担保責任が義務づけられた。これによって、住宅を建てた人は、その引き渡し日から10年間、法律で定められた構造耐力上主要な部分(骨組み)と、雨水の侵入を防止する部分(防水)に瑕疵、つまり欠陥があった場合には、建築会社もしくは売主(建売・マンションのケース)に補修あるいは損害賠償の請求ができるようになった。  これを規定しているのが「住宅に関する品質確保促進法」(1999年6月公布)で、この法律のなかに任意規定ながらうたわれているのが、秋からのスタートが予定されている「住宅性能表示」制度である。  そもそもこのような法律ができたのは、建設省が日本の住宅のレベルを向上させようとしたからだ。しかし、法案段階では消費者保護という視点も入っていたが、結局、業界保護に落ち着いてしまっている。  住宅性能表示制度もユニークな試みだ。しかし、これによって各企業問の性能表示競争がおこなわれるのはいいが、それだけで良い家という幻想を一般の人に抱かせてしまうおそれもある。たしかに、この住宅性能表示によって、これから家を建てようとする人は今まで以上に事前情報を入手できるようになる。でも、それはあくまで住宅完成時の初期性能にすぎず、10年、20年あるいは50年経過したときの性能ではない。  それに、たとえ測定可能な範囲のデータが客観的であったとしても、住宅の根本的価値が表示されているわけではない。だから、この性能表示を過信するのは危険である。  それでは根本的価値とは何か。主観的には住みごこちということだ。これは個人によって違うし、このようにあいまいな価値は生活者本人にしかわからない。すなわち住みごこちとは、生活しはじめてからわかるものなのだ。もし、住みごこちをある程度確認できるとしたら、自分が依頼しようと考えている住宅会社で建てた家の生活者を紹介してもらい、話を聞くことだ。そこで生活しているなまの声の集積こそが最後の判断基準になりうる。  このなまの声を聞いてまわる方法は、いろいろな意味で事前情報が得られる。まず、家づくりをする過程におけるエピソードといった軽い話から、現在抱えるクレーム、さらにはシックハウス、欠陥にいたるまで聞けることになるかもしれない。  こういった契約以前の聞きこみや、評判チェックなどをみんながするようになると、住宅会社もこれまでのような大量生産・大量販売をするようなことはなくなり、低価格を競い合うこともなくなるはずである。

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