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エコロジー建築はあたりまえのドイツ

2018年4月27日「金曜日」更新の日記

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 環境・住宅先進国といわれるだけあって、ドイツでは建築物も当然エコロジーなものが好まれる。室内汚染をしない自然な素材と工法は、健康のためにも求められている。また環境意識の高まりから、リサイクル材料の使用も近年多くなってきた。  日本でも、最近はどんどんエコロジー建築に切り替わってきているように感じられるが、ドイツではさらに進んだ環境概念によって建築がおこなわれている。  その概念とは、「ビオトープ」「バウビオロギー」、そして「バウェコロジー」である。これらは、先に述べたアメリカの「グリーン・ディベロップメント」という考え方に共通する点が多い。  「ビオトープ」とは、野生生物の生息可能な自然生態系が機能する空間という意味で、野生生物が生きることができる空間こそが人間にとって大切なのだという自然重視の概念である。これは主に不動産開発にあたるときに配慮される。最近、日本でおこなわれている、ホタルやトンボの生息地をつくったり、せせらぎをつくって、そのまわりに草花を生い茂らせる方法は、ビオトープの概念に通ずるものだ。  つぎに「バウビオロギー」と「バウェコロジー」だが、前者は建築生物学、後者はエコロジー建築を意味する。「健康な住まいへの道」の著者であるホルガー・ケーニッヒ氏はつぎのように語っている。  プランナーや職人は今日、素材のもつ制約や限界を克服する術を手中にしている。しかしそれによって、環境に対する新たな責任が生じてくる。建物は生きた風景の一部だからだ。 その姿かたちは、その土地の気候や周辺の建物からの影響を受けることになろう。これぞバウエコロジーである。  建築家にはまた、住み手の健康に対する責任がある。健康を促進する室内環境の創造は、ひとつひとつの建物において新たに習得しなければならないひとつの技である。私たちが慣れ親しんでいるさまざまな素材は、幾世代にもわたって信頼されているものであるがゆえに、厳格な吟味にしたがってのみ、現代の建築素材にとって代わらなければならない。これぞバウビオロギーである。  つまり、バウビオロギー(建築生物学)は健康な住まいをつくるための考え方であり、人間を中心に据えて建築物を考えるという思想だ。室内空気汚染、ダニ、カビ、有害化学物質などによって、アレルギー・健康障害が引き起こされる。この問題を解決するうえで必要なものなのだ。  ではバウエコロジー(エコロジー建築)とはどんな建築のことか。ひと・環境計画の高橋元代表(前出「健康な住まいへの道」の日本語訳の監修をしている)は、つぎのように明快に定義している。「地球環境生態系に可能な限り調和することを目指し、地球や地域そして人に負荷をかけない建築物」。  ドイツの環境・建築にくわしい高橋氏は、バウビオロギーは建築と人との身体的、心理的、精神的関係をあつかう分野で、バウェコロジーは建築と地球環境との持続可能な関係をあつかう分野にあたる、としている。  以上のように、ドイツでは、エコロジー建築についてかなり高いレベルまで研究され実現している。現在の日本はまだまだこのレベルには達していないが、一部の意識の高い工務店経営者は、建築と人、そして地球環境まで視野に入れた家づくりをはじめている。

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