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エコタウンに学ぶゴミ処理システム

2018年4月26日「木曜日」更新の日記

2018-04-26の日記のIMAGE
 ドイツ南西部にあるフライブルク市は、人口30万人、段差のない石畳が敷かれ、中世のゴシック建築の教会が今も建ちならぶ、とても美しく世界でも有数のエコタウンである。  ここは自然保護の実践、パークアンドライドといった公共交通システムによる卜(気汚染の防止だけでなく、ゴミ処理においてもキラリと光る政策をとっている。  1992年にゴミの焼却処理を禁止し、生物学的な処理の方向へと切り換えた。これを徹底するために、ゴミの発生最を抑えることを最優先とし、「ゴミ処理カレンダー」の配布、子どもの環境教育プログラムの作成など、数々のキャンペーンを実施している。  さらにゴミをリサイクルできるもの、土に還るもの、再利用できるものなどに分別収集して、廃棄するゴミの排出量を減らしてきている。もちろんこうした政策が効果をもたらす前提として、ドイツの産業界全体が極カゴミを出さないように設計され、生産段階から工夫していることや、官民一体となったゴミ減量への取り組みがあることを忘れてはならない。  こういった環境配慮政策の結果、フライブルク市はドイツ国内で毎年認定される環境都市に2回選ばれているのだ。  ところで、生物学的処理方法とは何だろうか。  それは、ゴミ処理場から発生するメタンガスをエネルギー資源として利用することだ。採取したメタンガスはプラントに送られ、プラント内のコージェネレーションシステムによって電気と熱に分解される。これを市内の発電所に供給し、市民のためのエネルギーとして還元しているのだ。  メタンガス放出後のゴミ処理場には木が植えられ、森として再生されると市民の憩いの場となる。まさに、市のなかで資源を循環させているのである。  こういった事例以外にも、フライブルク市は幅広く資源の循環に取り組んでおり、世界的に環境先進都市として注目され、各国から視察に訪れる人も多い。  20世紀の大量生産・大量消費によって発展をとげてきた日本経済が21世紀に残したツケのひとつがゴミ問題だ。21世紀の日本には、ゴミの総量を大幅に減らし、かつゴミを有効に利用することが必要とされている。1999年末にニュースとなった「フィリピンへのゴミ不法輸出事件」はまだ記憶に新しい。1989年にスイスのバーゼルで、有害廃棄物の国境を越える移動は禁止するとした条約が採択され、93年に日本もこれに調印している。不法輸出事件が海外でも広く報道されたのは、このバーゼル条約に日本の業者が違反したからだ。  いっぽう日本国内に目を転じると、不法投棄の事例はあまりにも多く、ニュースにさえならない。1998年度には、全体で1273件、44.3万トンとなっている。この不法投棄のなかでもっとも多いのが建築系だ。実に不法投棄の70%を占めている。ぜひ、建築業界は設計段階からゴミにならない素材を選び、また長く住める家をつくってほしい。

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