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「手付金」を払った後でも契約は解除できるが・・・

2018年4月18日「水曜日」更新の日記

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 売買契約を結ぶ際に「買主が本当にこの物件を購入したいと思っているか」という意志を証拠として残すために支払うお金を「手付金」といいます。  原則的に、いったん売買契約が成立してしまうと相手方がきちんと契約内容を守らないようなケースを除き、一方的に契約は解除できません。  ところが、売買契約の際に手付金を支払っていると、売主や買主の事情で契約を解除することができます。たとえば、契約後にさらによい物件が見つかったような場合、買主は契約を解除できるわけです。この場合、買主は手付金を放棄することになります。  もし売主側の事情で解除するときは、手付金の倍額を返還することが必要となります。  買主からの解除を「手付流し」といい、売主からの解除を「手付倍返し」といいます。  ただし、この手付けによる契約の解除ができるのは、あくまでも「当事者の一方が契約の履行に着手するまでの 間」とされている点に注意しなければなりません。  相手方が契約を実現するための行為を行なっているにもかかわらず契約解除を認めたのでは、相手方にとって非常に酷な結果となってしまいます。  たとえば、買主が代金の準備をして売主に所有権移転の登記、物件の引渡しをするように催促しているような場合は、履行に着手があったものとされてしまい、売主は手付金の倍額は返還しても契約は解除できません。  また反対に、売主が所有権移転の登記に必要な書類を準備して買主に売買代金を支払うように催促しているような場合には、買主は手付金を流したとしても契約は解除できなくなってしまいます。なお、契約通り履行すると手付金は売買代金の一部に充当されることになります。  ではこの手付金は、一般的にいくらぐらい支払うものなのでしょうか。  原則として当事者の自由な取り決めとなっていますが、売主が不動産業者の場合は手付金は売買代金の20%以内しか受け取れないことになっています。  また、手付金の額が売買代金の10%(未完成物件の場合は5%)または1000万円を超えるときは、万一不動産業者が倒産したようなケースでも、支払った手付金を買主が回収できるように保全処置をとることが義務づけられています。  ですからこの場合、買主はただ単に口頭で説明を受けるだけではなく、必ず保全措置をしている証明となる「保証証書」や「保険証券」を見せてもらうことです。  ちなみに頭金も手付金も売買代金の一部として売り主に支払うお金のことですが、頭金と表現する場合は、手付金のように法律上、契約を解除する権利があるという意味は持っていません。  売買契約のときに手付金を支払った後、代金の全額を支払う前に「内金」を支払うケースが多くあります。内金とは売買代金の一部の前払いという性格をもっていますから、一般的に内金が支払われると履行の着手があったとみなされるため、手付けによる解除はできなくなってしまいます。ここでも注意が必要です。  なお内金は売買契約の後に支払われることが多いので、売買契約の際に買主から売主に支払われる内金は、時には「手付金」とみなされてしまうこともあります。手付金とみなされると売主から手付金の倍返しで契約を解除される可能性があるため、手付金と誤解されないように契約書にその内訳をはっきりと書いておくことがポイントです。  最終的には申込証拠金、手付金、内金を支払った残金を支払うことになります。  ただし、残金を支払い、マイホームの引渡しを受けたからといって安心できるわけではありません。土地・建物の売買を行なう場合は、登記をしてからはじめて「マイホームを手に入れた」と主張できることになっています。  マイホームの引渡しを受けていても登記簿謄本でしっかりと所有権が自分にあるということを確認することを忘れないでください。

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