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同居のトラブルを避けるには?

2018年3月28日「水曜日」更新の日記

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 老人と住まいの問題をみてきた。またその改善策を考えてきたが、老人にとっての日本の住居の実情はまったくお粗末だといわざるをえない。たとえば、総務庁が「老人扶養に関する調査」を行なっている。簡単にいえば別居、同居についてどのように考えるかを調べたものだ。親(老人)の回答では「できるかぎり一緒に暮らすのがよい」が60パーセント、「親が元気なうちは別居し、弱ったら同居すればよい」が17パーセント。これに対して子の回答は、前者が50パーセント、後者が25パーセントとなっている。無条件の同居と条件つきの同居という違いはあるが、同居を否定していないという点でこれを合計してみると、親が77パーセント、子が75パーセントと、ほとんど同じ比率になることがわかる。意識としては親も子も同じように同居を考えている。この数字は、現代社会が戦後の一時期の核家族化・移動社会から大きく変わりつつあることをも示している。総務庁の調査ではこういう結果になったが、同居・別居の問題はいろいろと議論の分かれるところだ。できるだけ別居したほうがよいとする人がいる一方で、若い人と一緒に暮らすのはうっとおしいと考えている老人もいる。私自身は同居はけっこうなことだと思うが、問題は住宅である。三世代の同居を可能にしようと思えば、住宅はかなり大きなものでなければならない。日本の現在の住宅事情のままで同居を強行すれば、トラブルばかり起こってくるのは目に見えている。まして在宅ケアなど成立するはずがない。家族が犠牲を強いられ、老人も精神的負担を感じ、自尊心を奪われる。また、家が狭かったり、帰るべき家がなくて長期入院を余儀なくされている老人がいる。あるいは、病院内でのリハビリテーションで回復し退院できたとしても、自宅での療養や運動が十分にできないような実情では、すぐに回復は停止してしまい、あとは後退するばかり。イギリスの住宅監視員、フランスの社会保健婦の制度などは、こんなとき退院後の老人の住宅をチェックし、必要なアドバイスを与え、改造のための資金援助までしてくれるというキメ細かさだ。日本には残念ながらこのような制度はない。住まいの問題を人権の問題としてとらえている国と、そういう思想風土のない国との違いであるが、わが国もすみやかにこういった制度を確立しておかなければ、ますます老人にとって住みにくい国になってしまうだろう。新たに老人住宅を建設することも必要だろうが、現在ある家に住み続けながら、その家を老人にとっても住みよい家にしていく。そのための修理・改造に手厚い資金援助や適切な指導をしていくことが、行政レベルでもっと考えられなければならない。

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