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「快適な生活」のチェックポイント

2018年3月25日「日曜日」更新の日記

2018-03-25の日記のIMAGE
 家庭内事故の予防だけでなく、居住空問全体が老人の身体的・生理的な特性を留意した構造になっているのが望ましい。体力や精神機能が低下してくる老人には、青年ならわけなく上がれる玄関の上がり框が障壁になる、といったことがすべての面で起きてくる。 だから、老人がどんどんふえていくこれからの時代は、住まいのあり方について発想を転換していかなくてはならない。  老人は年齢を重ねるごとに身体的・生理的な条件が変化する。 その老人の身体的・生理的特性の変化に応じて住空間や設備をどのように改善すればよいか。考えていきたい。  たとえば老人になると人体寸法が縮小する。 成人女子と70歳代女子の背丈の差は、平均差14センチもある。 当然住まいもその寸法に応じた空間でなければ安全で快適な生活はできない。  まず、運動能力低下への対応が必要。特に、排泄機能低下への対応としては、夜中にトイレへ行く回数が多くなるので、同じ階の近くにトイレを設置することが望ましい。  視力、聴力、臭覚、温度差感覚などの感覚機能が低下してくることへの対応も必要だ。 廊下や階段が薄暗いと転びやすいので、照明は明るくする。 ガス漏れに対しては、匂い、音、ランプの点滅など5感に訴える警報装置が必要だが、鼻がきかない、耳が遠くて警報音が聞こえない、限がよく見えないので色や光の点滅にも気づかない、といったことがあるので、外部からもわかる警報装置をつける。  近頃、一般成人でも使いにくい複雑なメカニズムの石油ストーブなどの家庭器具がふえている。 老人には事故の原因になる可能性があるので避けたほうがよい。 老人の安全について、家族が最大限の注意と努力を払うことが必要だ。  1987年6月、東京都東村山市の特別養護老人ホーム「松寿園」で起きた火災は、17名の老人の生命を奪ったが、ベランダと部屋との段差が27センチメートルもあり、自力で外へ出られなかったことも犠牲を大きくした。 老人にとって住居の安全性こそは、なにものにも代えがたいのだ。 老人が安心して暮らせるための住まいを、社会全体がもっと真剣に考えていかねばならない。

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