住まいで事故が多発するワケ
2018年3月24日「土曜日」更新の日記
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- なぜ家庭内事故が多発するのか、老人の立場で一度考えてみたい。
まず転倒。
転倒の多い場所は、廊下、ホール、玄関、居問、食堂の順となっている。
これらの床部分はほとんど板張りである。
特に最近の新建材が問題だ。
新建材は安い、一見美しい、などの理由で多用されている。
だが、すべりやすい。昔の木材のように弾力性がなく堅い。
火災のときに毒ガスを発生する。
今の時代、新建材を使うなとはいえないが、メーカーはあらゆる面から安全な建材をつくらないといけない。
コンクリートの上にすぐ堅い新建材を貼りつけるような工法も避けるべきだ。
つまずきは、段差が原因である。
老人のいる家では、たとえ1センチであろうとも段差は極力避けなければならない。
また、つまずいて倒れてもそこが畳ならまだよいが、板の問やタイルやコンクリートという硬い材質でできている場所だとケガの確率はぐんと高くなる。
段差をなくすと同時に、床材の選択にも十分注意する必要がある。
転落事故はほとんど階段で起きている。
これは繰り返すが、急勾配、手すりがない、折れ曲がりなどが原因。
日本の建築基準法では、転落防止の柵としての手すりは必要とされているが、壁にはさまれた階段などではなくてもよいことになっている。
そんな階段の途中で足を踏みはずしたら、つかむところがない。
老人ばかりではない。
私たちでも何かを抱えていると前が見えないから踏みはずしそうになることがある。
妊婦にとっても階段に手すりのない家では流産の確率が高い。
階段に手すりのない家庭は、今からでも手すりをつけるようお勧めする。
扇形に折れ曲がったり、あまりに急な階段は何かの機会に改造したほうがよい。
少々床面積が減ってもすべては生命あってのことだ。
また段差の変化をなくすことも必要だ。段差の変化はつまずきの原因になるばかりでなく、歩行のリズムを狂わせるので危険なのである。
家を新築するときは、こうした安全性に注意を払った設計をする必要がある。ヨーロッパでは住宅には必ず1階に寝室が1室はないといけないと決めている国が多い。
居住者が老人になったとき2階への昇降が危険だから許可されないのである。
日本では1階に居間と食堂、風呂、便所があり、寝室は2階という家が多い。
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