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安全に暮らすための知恵

2018年3月23日「金曜日」更新の日記

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 家庭内事故は特に老人に多い。 具体的にはどんな事故があるのか例をみてみよう。  事例1は廊下ですべり玄関土間に転落したというもの。 老人は骨がもろくなっているので、ちょっとすべっただけで転んで骨折し、それで寝たきりになったりすることがある。  事例2は階段からの転落。 急勾配で手すりのないことが原因。日本では建築基準法で屋内階段の幅は60センチメートル以上と決められている。 手すりをつけるとその分だけ幅を広げなければならない。 また階段を急にすれば、その分半畳なりのスペースがかせげる。 ミニ開発の建て売り住宅などに起こりうることだが、相当大きなプレハブ住宅でも手すりのない階段が多いのにはびっくりする。  事例3は敷居でのつまずき。 たった1センチの段差でも身的機能が低下している老人には対応できないことが多い。 敷居だけでなく、じゅうたんの縁にひっかけてつまずくこともある。 ほんのすこしの段差も老人には禁物である。  事例4は住居と風呂場の建物が別になっていることから起こった踏みはずし。 若い人なら簡単にまたげるものが老人にはできない。 自分では渡れるはずだと思っても、からだがいうことをきかないのだ。  事例5はぶつかり。 からだも大きく力も強い若者が勢いよく開けたドアに老人がぶつかって、ふっとばされた。 狭い廊下ではドアは内開きにしないとあぶない。  事例6は廊下ですべっての転倒。 プレハブ住宅や建て売りなどで非常にすべりやすい新建材を使っているものがある。 最近「すべる家」と名づけてもよいような、有名なメーカーのプレハブ住宅に出会って驚いた。 近頃では生活習慣が変わってあまりやらなくなったが、廊下をピカピカに磨きたてるのもよくない。  事例7は玄関土間でのつまずき。 これも段差であるが、慣れていない自分の家以外での事故が多い。 感覚が狂うのである。日本全国の家庭の上がり框が同じ高さに統一されていればよいが、それは無理というものだ。  事例8は玄関マッ卜がすべっての転倒。 一種の装飾なのか小さなじゅうたんのようなものが最近の家にはよく置いてあるが、それがどんなに高価で美しいものでも、すべりやすいものは老人にとっては危険だ。  この例のほかに浴室での事故も多い。最近の浴室では当然のようにタイルが使われているが、濡れるとすべりやすい。特に老人はバランスがうまくとれないので、すべって大ケガをする。  すべる、転ぶ、つまずく、踏みはずす、ぶつかる、転落するなど、現代の住宅内には老人にとって命取りになりかねない危険が充満していることがわかる。 1984年の「年齢別家庭内事故による死亡者数とその内訳」である。  これを見ると家庭内事故がいかに老人に多いかがわかる。 参考として示してある最下段の交通事故死者よりも多い。 幼児の場合も、交通事故よりは家庭内事故での死亡者数のほうがはるかに多い。先に現在の日本での最大の問題といった意味がおわかりいただけるだろう。  しかし、この家庭内事故での死亡者数は全部足しても6120人にしかならない。 1万3000人と思うのは、次のような事情からだ。  交通事故死者は合計で1万3612人。 これはすべて警察に届け出られるので、正確な数字と考えてよい。 ところが家庭内事故の場合はどうか。 たとえば老人が階段から転落して寝たきりとなり、心臓マヒで死亡したとする。死因は「心臓マヒ」。  そのようにこの数字は不備なので、資料を見直して数値の出し方を補正した学者がいる。 そうすると、交通事故死者とほぼ同数の1万3000人ぐらい年間で死んでいることになるという。 ケガ人は130万人。  寝たきり老人は全国で約33万人いるといわれる。 その原因の第1位は脳梗塞、第2位が家庭内事故である。 

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