日本的洋風生活はダニとカビの温床
2018年3月19日「月曜日」更新の日記
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- 住み方に関連して問題になっているのが、ダニとカビである。
湿気のこもりがちな鉄筋コンクリートのアパートや気密性の高いプレハブ住宅などの畳の上にじゅうたんを敷いて生活する、これがよくない。
風通しが悪く温度や湿度が上がり、ダニやカビの絶好の繁殖の場、すみかとなってしまう。
ダニやカビはぜんそくやしっしんの原因となる。
最近では肺にカビがつく病気もある。
これには住み方の問題も関係する。
京都などには町家の伝統があって、四季に合わせた住み方をしてきたが、一般的には核家族化によってそれも失われつつある。
生活の知恵に裏打ちされた生活様式が世代を超えて伝わってゆかなくなりつつあるのだ。
梅雨が過ぎると畳干しをするのがかつての習わしであった。
だが今は見かけることが少ない。
建物がコンクリートやプレハブなど、
湿気のこもりやすい構造になっているというのに。
これではカピがはえるのは当然である。また、畳を干そうにも、家具がいっぱい置いてあって畳を上げることができない。
これからの和室では部屋の周囲40センチぐらいは板張りにし、畳を上げやすいようにするのも一案だ。
しかし問題は居住者の住み方だけにあるのではない。
日本の風土になじまない工法の住宅を、そのまま取り入れていることにも大きな原因がある。
たとえばツー・バイ・フォーと呼ぱれる工法。
これは、日本とは反対に冬湿度が高く、夏乾燥しているカナダで育った建築工法である。
2インチ×4インチの部材をベニヤ板でサンドイッチにして使う。
熟練した技術がいらず建てやすいことから業者に人気があり、コストもすこし安いが、問題が多い。
日本は春から夏にかけて雨が多く湿度が高い。
木材は湿気を吸収し、晴れた日には吐き出す。
いわば呼吸をして室内気候を調節している。
柱の根元が腐れぱ根継ぎができる。
だがツー・パイ・フォーエ法にはそうした役割を期待できない。
またやたらに釘を使う。ちょっどこか傷んでパネルの中に湿気が入ったり、腐りだすと手がつけられない。
まだ大きな問題にはなっていないが、やがてそれのわかるときがこよう。
1975年、日本建築学会は、「ツー・バイ・フォーエ法は日本の風土になじまないから、軽々に導入すべきでない」という勧告文書を総理大臣、建設大臣、通産大臣、科学技術庁長官等に提出した。
建築学会は日本の建築文化の発展に対して学界としての社会的責任を負っており、事態に危惧を抱いたものといえよう。
その後の建築学会会長を務めた清家清東京芸術大学名誉教授も同じ趣旨のことをいっておられる。
戦後、この工法で米軍の横田基地に立派な将校宿舎がたくさん建てられたが、今、当時の建物はまったく残っていない。
また、戦後まもなく占領軍によって沖縄でこの工法による住宅が建設されたが、これも現在ではほとんど姿を消している。
教授は「わが国のような風土のもとでは、とても長い問の風雪には耐えられない。ツー・バイ・フォーエ法はわが国でもかなりの歴史をもつものだが、その後何かが改善されたわけでなく、その危険性に変わりはないといわざるをえない」と述べている。私も同感だ。
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