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住まいの中には危険がいっぱい

2018年3月18日「日曜日」更新の日記

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 家庭内事故とは、家の中での事故死やケガのことだが、これが現在の日本での最大の間題のひとつだといってもよい。  どれぐらい起こっているかというと、毎年約1万3000人が死亡し、120万人がケガをしている。 これは交通事故で亡くなったりケガをする人数とほぼ同じ。 まったくすさまじい数字なのだ。 どんな家庭内事故があるかといえば、階段やベランダからの転落死、床面での転倒、0歳から4歳までの幼児の窒息死・溺死、電気器具やガス器具による火傷・酸欠などである。  階段の踏みはずしや転落は、階段が狭い。 手すりがない、急勾配、折れ曲がっているなどの原因から起こる。 折れ曲がった階段がよくないのは、上り下りするリズムが途中で狂うからである。 同じ理由で蹴込みの高さに変化のある階段も危険が多い。  ベランダからの転落は、家の狭さの問題と重なってくる。 家が狭いから、みかん箱などをベランダやバルコニーに出す。 そこに子どもが上って転落することになる。  窒息は幼児に多い。 狭い部屋で兄弟と一緒に寝起きしていて、ふとんがかぶさるなどして起こる。  溺死も圧倒的に幼児に多い。 浴槽や洗濯機に落ちこむなどが原因。  火傷や酸欠は、石油ストーブ、ガスストーブ、トースター、オープン、アイロン、湯沸かし器、電気ポッ卜など、まるで工場のようにエネルギー器具を配吐している最近の家庭生活を考えれば当然ともいえる。  これら家庭内事故の中でも特に多いのが、転んだり転落したりすることから起きる骨折やケガである。なぜこういうことが最近多くなっているのか。 これも、住まいの構造と大いに関係がある。  まず新建材だ。 最近の住宅は新建材を非常によく使うが、これがすべりやすく堅い。 そこにワックスを塗ったりするとさらにすべりやすく危険になる。 洋風がしゃれているからと、板張りの部屋を多くするのも、骨折事故を多くしている一因だろう。 板張りの部屋にじゅうたんやマッ卜を敷くと、こんどはその縁につまずいて転ぶ。 段差の多い部屋も住宅雑誌で見ているかぎりはよいが、安全で住みよい部屋とはいえない。 浴室のタイルですべる転倒事故も少なくない。  また、天井、壁などに使われているアスベスト(石綿)の粉末が肺に突きささり、発ガンの原因になることは、以前から大きな社会問題になっている。 しかるにこれがいまだに使われている。  このように住宅の構造と材料が住む人の生命の安全をそこなっている。 そういう住宅を平気でつくっている住宅企業にも反省を促さねばならないが、ほとんど成人だけが使用するオフィスビルなどと、幼児から老人までが生活する住居をまったく同じ「建築基準法」でカバーしている行政の責任も重い。 西欧諸国ではたいてい別の基準になっている。

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