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子どもに病気をもたらす住まい

2018年3月15日「木曜日」更新の日記

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 健康が住環境の悪化によってそこなわれるという傾向は、成人だけでなく子どもたちにもおよんでいる。 小中学校生徒の主な病気の結核は大幅に減っているが、心疾患、腎臓疾患がふえている。 そのふえ方は、全国平均に比べて大阪市のほうが心疾患で2倍、腎臓疾患で3倍である。  栄養のかたよりや運動不足などもあろうが、大都市の居住環境の悪さが、子どもたちをむしばんでいることは明らかだ。 学校の先生方は子どもの健康をむしばんでいる住まいや居住環境の改善の必要性について、どう考えておられるのだろうか。  そうはいっても、私たちは日頃から住まいの欠陥からくる病気に気づかないことが多い。  それは、便秘・頭痛・不眠など病気とはいえないような症状からはじまる。病気にしても、神経痛・ぜんそく・胃腸病・心臓病・高血圧症などの慢性病で、公害病のように特定地域に急激に多発し社会問題化するというものでもない。 それゆえに本人もまわりも精神的不安定さや慢性病が住宅の欠陥からきているとは自覚しにくい。  欠陥住宅とはいっても、建物が傾いているとか、建具が閉まらないとか、雨漏りがするといったことはわかりやすい。だが住居の欠陥は目に見えるものだけではない。 湿気が多い、日当たりが悪い、風通しが悪い、普通の生活による物音が家の中や隣家・上下階によく聞こえる。 家と部屋が狭くプライバシーが守れない、外の空気が悪い、騒音・悪臭・振動がある、その他これから記していくような欠陥が複合して疾病の原因となっている。 病気をもたらす化居などというのは、住み慣れてしまうとなかなか気がつかない。 だが調査を重ね合せてみると住宅の状態と私たちの健康が密接に関連していることがわかってくるのだ。  最近、開業医の団体である全国保健医団体連合会は、住居と疾病に関する調査を始めた。 これは病気の発生や療養の条件を居住環境との関係でみていこうとする画期的な調査である。私はこれに大きな期待を寄せている。

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