へやいろシーン

トップ > 平成30年3月> 6日

主婦に多い「引っ越しウツ病」

2018年3月6日「火曜日」更新の日記

2018-03-06の日記のIMAGE
引っ越しの影響を考えてみよう。精神科医は転居によるノイローゼを「引っ越しウツ病」と呼んでいる。ひどいときには自殺にまで追いこまれる。Fさんは1942年生まれの主婦。東京都練馬区から埼玉県狭山市に、家を新築して引っ越した。ところが引っ越したとたん、淋しさ、悲しさ、気の重さに襲われた。まるで他人の家の台所に立っているようで落ち着かず、気が滅入って死ぬことばかり考えるようになった。ある精神病院で受診したが治らず、祈檮師の勧めで5ヵ所の寺社をまわってみたがそれでも治らず、実家に帰ってしまった。結局、1年半治療してやっと普通に住めるようになった。そして11年後、隣の家が空いたのでそこを借りて仮住まいとし、手狭になった家を建て替え、喜び勇んで入居した。ところが今度は台所が広すぎて落ち着かない。まるで旅館に泊まっているようで自分の家という感じがしない。家共も荷物も整理しないうちに、またウツ状態になってしまった。通院しても治らないので入院。家は新築後4年以上経ったが荷物はほとんどそのまま。Gさんは1917年生まれの女性。1978年に長女の住む群馬県館林市へ引っ越した。そのころは孫の面倒をみていて調子がよかったが、2年ほどして夫の退職で都内のアパートへ転居。夫の再就職先が遠くて1人のときが多い。友人もなくて淋しい。そのうえ、周囲に気がねする。アパートは台所がどの家も同じ位世にあって、自分が台所に立つと相手も立ってきて意地悪するような気がする。たまりかねて2ヵ月後、一戸建ての家に引っ越したところ、周囲がアパートで、自分の家の音がつつぬけ。文句を言われたり、露骨に5時間もピアノを弾かれる。たまらず1年半後、郊外の畑の中の1軒家に再度引っ越し。それで落ち着いた。代々木病院のN医師によると、これは分裂病で、幻聴や被害妄想が起こるが、特に近隣との関係で悪化する。こういう分裂病や躁ウツ病が住居や隣家との関係で悪化する例は枚挙にいとまがないという。引っ越しがその引き金となっているのである。現在の住居で近隣関係がうまくいっていれば、特別の理由がないかぎり、引っ越しは避けたほうがよいのである。また住居の部屋数が少ないと患者(分裂病や躁ウツ病)がすこしも安定しないとか、逆に部屋にとじこもってしまい治療ができない(家庭内暴力、分裂病)など、住宅条件がからんでいない精神障害はないという。

このページの先頭へ