引っ越しブームのウラ側
2018年3月5日「月曜日」更新の日記
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- 引っ越しの理由はさまざまである。
人生の節目である就職・結婚・退職などは引っ越しをともなうことが多い。
まず家から離れた学校へ入るとき、そして卒業し就職すると、見知らぬ土地へ行く。
全国に支店をもつ大企業、新聞社、テレビ局、中央官庁などに勤めると定期的に転勤がやってくる。
年度の変わり日には駅頭でのバンザイが一種の「季節」を表わす風景となる。
転職も引っ越しを ともなうことが多い。北海道の炭鉱が閉鎖されたり国鉄が民営化されたりして、住み慣れた土地を離れていった人も多いだろう。
「住宅統計調査」によると、就職・転職・転勤は転居理由の20.6パーセントを占める。
結婚にも引っ越しがつきものだ。
人生の新しい門出は新居を求める。
女性が、夫となる男性の勤務地へ赴くのが1般的であろう。結婚は転居理由の11.2パーセント。
親や子と同居するために引っ越していく人もいる。
老いた両親の片方が先立ち、1人残された
親が淋しさに耐えかねたり、生活が不自由になって、子ども夫婦の家に引っ越していく。
逆に子どものほうが親の家に引っ越してくることもあろう(2.9パーセント)。
引っ越しのもう1つの大きな理由は、住宅事情によるものである。
現在はこれがいちばん多く、44.7パーセントを占める。
その内容は、「住宅が狭い」=17.0、「通勤が不便」=4.5、「立ち退き要求」=4.4、「家賃が高い」=4.1、「居住環境が悪い」=3.8、「住宅の老朽化」=3.5パーセント、などとなっている。
たとえば、子どもが成長し、今住んでいる住宅がなんとも狭くなってしまった、1部屋でもよいから大きな家へ引っ越したい、そういう人が多い。
みんな家賃を払えるぎりぎりの大きさの家に住んでいるという場合が多いから、収入が上がると無理をしてでも引っ越していく。
子どもに部屋を与えてやりたいという親心から、遠くてもよいからすこしでも広い家を見つけて出ていく。
家を買って引っ越していく人も多い。
もうだいぶ前から、家賃を払うよりマンンションを買ったほうが得だという考え方が広がっている。
実際のところ、最近の公団住宅家賃は関東で15万円、関西で12万円以上もする。
こんなべらぼうな家賃を払うぐらいなら、すこし貯金したり親から頭金を借りたりして、ローンでマンションでも買ったほうがかえって安上がりだと思わされる。
また借家はいつまでも家賃を払い続けなければならないが、マンンヨンや建て売り住宅はローンを払い終われば自分の財産になる。
実際は固定資産税や修理費がかかってきたり、万一欠陥でもあると大変なことになるのだが、とにかく家を買って移っていく人が多い。
職場から家が遠すぎる、日当たりが悪い、騒音、空気の悪さなどの住環境への不満から引っ越していく人もいる。
最近の大都市では地上げ屋に追われたり、家が高く売れて移っていくという人がふえていること。そのほか定年で社宅を出る。災害に遭ったなど、さまざまな理由で引っ越していく。
結婚、就職、転勤は仕方ないとして、「住宅事情」が引っ越しの最大の理由とはなんとも悲しい。仲介業が繁盛するわけである。
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