へやいろシーン

トップ > 平成30年2月> 23日

構造を重視するか、「間取りの自由」か

2018年2月23日「金曜日」更新の日記

2018-02-23の日記のIMAGE
 バランスという意味では、これからお話する「構造」は、日当たりよりもずっと建物にとっては根本的で重要な問題です。夏暑くても、それは住む人が我慢すれば済むことですが、構造が悪いと家の寿命が短くなってしまいます。  もちろん、そうはいっても、すべての住宅は建築基準法が定める最低限の強度はクリアしています。したがって、構造が悪いからといって、家がすぐに潰れてしまうなどという心配はありません。  ですが阪神大震災以降、地震に対する家の強度が問題視されており、少しでも家の強度を落とさない方法を知っておいた方が、これからの家づくりにはきっとプラスに作用することと思います。  さて、そこで構造とうまくバランスを取らなければいけない要素が「間取りの自由」ということになります。  これまで、「間取りなども自由な発想で考えてみてください」と、何度も書いてきましたが、だからといって、全く好き勝手にしたのでは構造的に問 題が起こる場合が出てきます。  例えば、あなたが積み木で2階建ての家を建てるところを想像してみてください。まず1階をつくり、2階の床を張り、2階の外壁と間仕切りをつくります。そのときに、2階の外壁や間仕切りは、なるべく一階の外壁とか間仕切りの上に揃えないと、強度的に不安な感じがします。  あるいは、1階に広い大広間をつくって、その上に、間仕切りの多い小さな部屋を幾つものせるのは、やはり「床が抜ける」ような嫌な感じがするのではないでしょうか。  実際の家にも、同様のことが言えるのです。強度的には、1階と2階の全く同じところに外壁や間仕切りがあることが理想です。とはいっても、アパートやマンションならともかく、一戸建ての住宅にそんなおかしな間取りの家はないでしょう。つまり、なるべく一 階の問仕切りと2階の間仕切りの位置を揃えたり、2階の間仕切りが、梁の上にきちんとのっているようにして、1階から2階まで一本で通る柱を入れるような工夫が必要なのです。  また、最近は広いリビングルームが人気を集めていますが、1階に広いリビングをつくって、2階に小さな部屋をのせるのは、構造的には弱くなりますので、リビングの形状に工夫をしてみるとよいと思います。  自由に間取りを考える際に、たったこれだけのことを考慮に入れると、プロから見ても「コイツはわかっているな」という感じの間取りができ上がると思います。ただし、これだけで間取りを考えるのが随分と難しくなるのも事実です。  構造的な強度と間取りのことを中心に書きましたが、ここでひと言、構造と窓の関係についても触れておきたいと思います。  窓は建物にとっては開口部なので、断熱性も落ちますが、同様に構造的な強度も落ちることになるのです。ですから、窓をたくさん付けると、その分を他の場所で強度を補わなければいけません。  その点、木造軸組工法で建築する場合は、窓を自由にとってもその分の補強のやりようがいろいろあるのですが、ツーバイフォーのような枠組壁工法で建築する場合は、強度を支える壁自体に穴を開けて窓をつくるので、補強のしようがありません。  つまり枠組壁工法では、木造軸組工法に比べて窓を自由につくりにくいということと、窓の大きさ自体にもかなり構造上の制限があり、どうしても窓が小さくなってしまうということを理解しておいてください。反面、断熱性や気密性には優れているわけで、それぞれの工法にはそれぞれのメリット、デメリットがあるのです。

このページの先頭へ