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採光と断熱性のバランス

2018年2月22日「木曜日」更新の日記

2018-02-22の日記のIMAGE
 これから家を新築する人だけでなく、マンションを買う人も、賃貸住宅を借りる人も、多くの方が気にかけるポイントの一つに、「日当たりがいいかどうか」という問題があります。  特に、今まで古い家に住んでいて、これから新しく建て替えるという人の多くは、「今の家は暗くてイヤ。今度の新しい家は、とにかく部屋の中を明るくしたい」という希望を抱くようです。  ところが、物事はすべて「ほどほど」が一番いいように、日当たりもやはり当たり過ぎは問題があります。いつも明るく日が差し込んで、しかも夏は涼しく、冬は暖かにという具合になれば誠に申し分ないのですが、なかなかすべてがそのようにうまくはいかないものです。  日当たりを良くするために、やたらと窓をたくさん付けたがる方が、結構いらっしゃるのですが、ここで注意しなければいけないのは、窓はあくまで建物にとっては開口部ですから、窓を多く付ければそれだけ断熱性が悪くなるということなのです。これは、仮にぺアガラスや三重ガラスのサッシといえども同じです。  これが通常の壁に付ける窓だけならまだいいのですが、さらに天井にトップライトも付けてということになると、断熱性はかなり悲惨なことになってしまいます。つまり「夏は暑くて暑くてしようがない」という状態に陥ってしまうのです。  日本の住宅では、断熱性が悪いからといって、冬が寒いということはそれほど問題にはなりません。日差しが差し込んで、かえって暖かいということもありますし、夜はカーテンを閉めるので、熱が失われるのを緩和することもできます。  しかし、夏の暑さは、窓の多さにまともに影響されます。かといって、せっかく日当たりを良くするために窓を付けたのに、夏の日中にいつもカーテンを引いて部屋を真っ暗にしていたのでは、本末転倒でしょう。  従来の日本の家屋を見ると、おおよそ6畳から八畳間程度の広さに、窓が2ヵ所というのが標準的な窓の数ではないでしょうか。このバランスは、日本の気候に合わせて、長い間に一番頃合いのいいバランスになったのだと思います。部屋をなるべく明るくしたい気持ちはわかるのですが、このバランスを大幅に崩さない程度に窓を配置すれば、まず大丈夫でしょう。  ちなみに、天井に付けるトップライトは、採光の基準でいうと通常の壁に取り付ける窓の3倍の明るさで計算をします。ですから、小さくても、トップライトが一つあれば、その部屋には壁に窓が少なくてもかなりの明るさは確保できるわけです。  また、バランス良く窓があれば、あとは必要以上に窓を多く付けても、明るさ自体はもはやそれほど劇的には変化しません。窓はぜひ、適切に、度を超さない程度にバランス良く配置したいものです。

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