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大きくオープンな空間から始める

2018年2月21日「水曜日」更新の日記

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 最近になって、子どもの教育や親の介護など、しっかりと長い歳月の移り変わりを意識した上で、家づくりを考える人たちも少しずつではありますが増えてきたようです。人は成長し、家族もそれぞれ成長し変化していくものです。その変化に柔軟に対応できるような家づくりを考えるということは、たいへん素晴らしいことだと思います。  そういう人たちに共通しているのが、子ども部屋をあえて完全な個室として分けてしまわないという考え方です。例えば、子どもが小さいときは、広いリビングで一緒に生活して、子どもが成長し、自分だけの空間が必要になったときには、リビングの一部を子どもコーナーとして、間仕切りをつくる。でも、その間仕切りは完全な個室としないで、わざと上部だけは開けておいて、リビングとつながった空間にする。このような対処の仕方です。  こうしておけば、近い将来に子どもが独立して家を巣立ったら、また間仕切りを取り払って、もとの広いリビングに戻すことも可能です。そして今度は、介護の必要な親が同居することになれば、また間仕切りをし直して、親の介護スペースにするという考え方もあります。  このようにして、家族の成長や変化に柔軟に対処できる家をつくる。あなたも、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。  さらに、もし子どもが生まれる前に、あるいは本当にまだ赤ちゃんのときに家を建てるという幸運に恵まれているのであれば、もっと大胆な考え方も可能だと思います。極端に言えば、ちょうど体育館のような、大きな一つの空間から始めるという考え方です。  例えば、夫婦2人だけの生活のときは、1つの空間だけで2人で生活します。ニューヨークのロフト暮らしのような感覚です。大きくオープンな空間に、ベッドや仕事机、食卓、お風呂など、何でもあるわけです。仕事をするのにどうしても仕切りが欲しければ、家具や、簡単なパーテーションで区切ればいいでしょう。  子どもができても小さなうちは、そうした大きな空間で一緒に遊べます。それこそ、家の中に2階からブランコを下げたりするなど、まさに体育館にすればいいのです。もう少し大きくなれば、2階の梁に床板を張って、部屋をつくってしまいます。家の大枠は完成しているのですから、簡単なリフォームですみます。  そうやって、大きな空間を必要に応じて区切ったり、床を足したりしながら変化に対応できるようにしておく。こんな考え方もできるはずです。  こうすれば、家を建てるときのコストも大幅に下げられます。細かい仕上げはほとんどなく、骨組みだけをしっかりとつくればいいわけですから、いわばいつも「未完成」状態の家なのです。仮に、その後の改築に多少お金がかかったとしても、ライフサイクルを考えれば、若いうちは、できるだけコストのかからない形の方がよりよいのではないでしょうか。  いずれにせよ、子ども部屋をどう考えるかは、家づくり全体を左右します。また、家づくりの根本にもつながるといっても過言ではないでしょう。教育の仕方、家族とのコミュニケーションの取り方などをじっくり考えて、後悔のない家づくりをして欲しいのです。

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