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住宅に適した工法

2018年2月15日「木曜日」更新の日記

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 家をつくる場合、色や形、素材も大事ですが、どういう方法で家をつくるか、すなわち家の工法を決めることはもっとも根幹にかかわることだといえるでしょう。工法を決めれば、その家の特徴もおおよそ決まってきます。細かな知識は専門家に任せするにしても、自分の家を考えるに当たって基本的なことは押さえておかなければならないと思います。 そこで、基本的なことをお話しいたしましょう。  まず、日本のいわゆる伝統的な木造建築は、木造軸組工法でつくられています。この工法については、おそらくどなたでも一度や二度は建設現場を目にされたことがあるとは思いますが、文字通り木材を縦横に組んで家の骨格をつくり、それに外壁材や内壁材を取り付けて家を完成させる方法です。  木造軸組工法の最大の利点は、設計の自由度が高いことにあります。簡単にいえば、木造軸組工法は力学的な強度はすべて軸組と耐力壁によって保たれているので、その間の空いているところにいくつ窓をつくろうと、構造的な強度には影響しません。窓や戸口を広く取りやすいということが言えます。デメリットは、気密性が他工法に比べて劣ります。  ただ現在の木造軸組工法は、欧米住宅の工法や素材の影響もあり、気密性が低いからといってすき間風がピューピュー吹き込むようなことはありません。通気性がいいので、むしろ湿気が抜けやすく、カビなどが発生しにくいので、一面健康的な家であるとも言えるのです。  それに比べると、2×4(ツーバイフォー)のような枠組壁工法の場合は、壁のパネルが強度を支える中心になるので、壁の強度を落とすような大きな窓やドアといった開口部はなかなか取りにくいという弱点があります。もちろん弱点だけではなく、ツーバイフォーには、木造軸組工法とは逆に気密性や耐震性にも優れているというメリットもあるのです。  木造軸組工法はいわば日本の伝統的工法、一方のツーバイフォーは北米の伝統的工法ともいうべきものですが、一概にどちらが優れているとは言えません。ただ比較的自由な設計で、自然な通気を重視する家を建てたければ、軸組の木造軸組工法がベター。気密性の高い家で空調器などを用い、室内の空気をコントロールしたい人は、壁組であるツーバイフォーを選んだ方がいい、ということは言えるでしょう。  ちなみに、ツーバイフォーというのは、パネルを構成する枠材の断面が2インチ×4インチのためこのように呼ばれています。しかし同じ枠組壁工法でも、当社が開発輸入しているフィンランド住宅はより太い2インチ×6インチの枠材を用いているので、ツーバイシックス(2×6)工法と呼ばれています。  枠材が太い分、構造的にも強く、断熱材などもふんだんに入れられるので断熱性や遮音性も高い建物になっています。  木造住宅の工法としては、これらの他に丸太組工法、すなわちログハウスがあります。 この丸太組工法は、もともとは正倉院の校倉造りに見られるように、わが国の伝統的な工法でした。しかし最近は、北米や北欧からの輸入プレカット材を組み立てるログハウスが主流になりました。  ログハウスは、最近の田舎暮らしブームと相まって、自然志向の人たちに人気があります。特にハンドカットの太い丸太が醸し出す山小屋風の雰囲気は、誰の目にも魅力十分に映ることでしょう。しかし、見た目の美しいログハウスも、住まいとしての機能となるといろいろ問題もあります。  例えば丸太を重ねて組むだけなので、木が縮むと家全体も大きく縮むということになり、その調整が常に必要になります。  設計の自由度という点でも、細かな間取りとか、自由に窓を取り付けにくいということは想像できることと思います。  そういった意味では、現在でもそうですが、どうしても別荘などの特殊な用途の建物として使われやすい工法だといえるでしょう。  木造以外の工法では、いわゆる軽量鉄骨造を中心とするプレハブや重量鉄骨造、RCと呼ばれる鉄筋コンクリート構造などがあります。  プレハブは、大量生産しやすい軽量鉄骨を使い、軸組とパネルでっくりあげるため、比較的安く手軽に、しかも事前に決めた予算通りに均質のものを建てられるというメリットがあり、主に住宅メーカーなどが力を入れて売り出している工法です。  最近ではプレハブ住宅も、品質やデザインが良くなり、短い工期で手間をかけずにできることから、個人住宅としても人気があります。しかし、やはり基本的には規格品ですので、設計の自由度はあまりありません。  また重量鉄骨造やRCは、個人住宅よりむしろ大規模な集合住宅やビルの建設によく使われる工法で、これらは個人住宅には使われないこともないのですが、まだまだ少ないと思います。  以上の点から、自分で自由な発想で家を建てたいときに頭に入れておくべき工法は、基本的に木造軸組工法と枠組壁工法の2つであると考えていただいて結構ではないかと思います。

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