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カラフルな住宅に慣れてきた日本人

2018年2月14日「水曜日」更新の日記

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 輸入住宅を日常的に目にするようになった結果、日本人の意識が最も変化したのは、住宅の色や素材の使い方に関してでしょう。そもそも日本住宅は木の柱や梁、土台でフレームを組み、その問の壁は板を張ったり、土を塗ったりしてつくるというもので、柱も壁もできるだけその素材を生かし、あえてその上に色を塗るというような感覚はありませんでした。当然住宅の色も、木や土や石そのものの色で、非常に地味なものでした。  それに対して輸入住宅は、柱ではなく、壁のパネルを組むことで家をつくり上げていきます。そしてそのパネルに塗装をするわけですから、従来の日本住宅とは違って色はカラフルで、どんな色でも使うことができるわけです。  現在の日本の住宅は、工法も様々ですし、仮に従来のような木造軸組工法でつくっても、壁はサイディングにしたり、モルタルで吹き付けたりと、素材を生かすというより後からペイットするものが増えてきました。ですから技術的には、カラフルな家をつくることはいくらでも可能になってはいるのですが、国民性なのかそれとも地域の調和を考えてなのか、やはり輸入住宅のように目立つ色を自分の家に使う人は、あまり多くないようです。  しかし、住宅メーカーなどのカタログを見れば一目瞭然ですが、最近のキッチンにしても、トイレや、・お風呂、あるいは内装や外装用のタイルにしても、以前よりはるかに豊富なカラ-バリエーションがあり、自分の好きな商品を選べるようになっています。ビビッドな原色や、パステル調の淡い色使いだったり、自然の風合いを大切にしたエコカラーだったり。  こうしたものが登場してきたのは、やはり輸入住宅などの普及の影響でしょう。日本人の見る目や感性が変化した現れだと思います。  素材も、色と同様です。日本人の感性は、少しずつですが変化しているように思えます。 大きな流れでいうと、もともとの日本住宅は天然素材をうまく使い、素材の良さを生かすような家づくりをしていました。  しかし工業化が進み、住宅を大量に供給するようになると、むしろ大量生産した工業化製品を部材にし、天然素材はめっきり減少してしまったのです。ところがいま、エコロジー志向の方が増え環境破壊が問題となり、再び工業製品から自然素材に戻ってきたというのが現状だといってよいでしょう。  輸入住宅や最近再び人気を集めているログハウスなどは、ムク材をふんだんに使用するものが多く、落ち着きのある雰囲気を醸し出しています。特に北欧系の輸入住宅では、サッシなどにもムク材を使い、アルミでは出せない味わいがあり好感を持たれています。  そうした影響からか、最近では床をフローリングにする人が非常に増えてきました。しかも健康への配慮から、接着剤を使用するいわゆる集成材ではなく、ムクの床材を使いたいという人が多くなってきています。ところがムク材は国内には少なく、ほとんどは輸入材になってしまいます。かつては、さまざまな輸入規制があったため「輸入は高い」というイメージを生み出しましたが、規制緩和で部材の輸入がしやすくなり、価格的にも現在はむしろ輸入の方が安いという状況になっています。  一方で皮肉なことですが、輸入住宅の普及によって、あらためて従来の日本の住宅が持っていた良さに気付かされる…。こんな現象も起きているのではないかと思います。

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